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カルボニル化合物とは?
カルボニル基(C=O)は有機化合物中に一般的に含まれている構造のひとつです。
カルボニル基を含む化合物はたくさんのバリエーションがあります。お酢の成分である「酢酸」もカルボニル基を含みます。果物の香り成分に含まれている「酢酸ブチル」、除光液の成分の「アセトン」も同じくカルボニル基を含みます。
これらのカルボニル化合物を性質をもとに分類すると大きく2つに分けられます。
一般的にはケトン・アルデヒドはカルボニル化合物、酸無水物、エステル、アミド、カルボン酸などはカルボン酸誘導体と呼ばれます。
カルボニル化合物とカルボン酸誘導体でわかれているのはなぜ?
カルボニル化合物とカルボン酸誘導体は同じC=O結合を持ちますが、別々に解説されていることが多いと思います。これは両者の反応性が異なるからです。
「脱離基の有無」でまず違います。
カルボン酸誘導体は電気陰性度が高い酸素や窒素がカルボニル基に結合しています。一方で、カルボニル化合物は炭素や水素が結合しています。
カルボニル基の炭素は電気陰性度が高い酸素に引っ張られてプラスに分極しています。カルボニル化合物であるケトンのカルボニル炭素に結合しているメチル基を引きはがそうとしてみます。カルボニル炭素は+になろうとするので外れる側・メチル基はおそらくマイナスで外れるはずです。しかし炭素の電気陰性度は高くないのでマイナスで外れるのは非常に難しいです。一方で、カルボン酸誘導体は電気陰性度が高いヘテロ原子がカルボニル基の炭素に結合しています。例えばエステルのOMeを引きはがそうとするとOMeマイナスで外れます。炭素と比べて電気陰性度が高い酸素がマイナスになるのでより安定で外れやすいです。このように外れやすい官能基を脱離基と呼びます。
実際の有機合成でも反応生成物が違います。アミドイオンと反応させるとカルボン酸誘導体の場合はカルボニル基と結合した後にメトキシ基が外れます。一方で、カルボニル化合物の場合は外れる基がないのでヘミアミナール(αアミノアルコール)が生成します。
カルボニル化合物のこの反応を求核付加反応といいます。一方でカルボン酸誘導体との反応は反応基と入れ替わるので求核アシル置換反応と言います。