Cbz基(Z基)とは
Cbz基はベンジルオキシカルボニル基(Benzyloxycarbonyl group)の略で、Z基とも呼ばれており、アミンの保護基としてよく使われます。カルバメート系の保護基で酸や塩基条件に対しても耐性を示します。還元条件には不安定で脱保護はPd/C、シラン還元、バーチ還元、ラネーニッケルなどで行います。保護化試薬は安価なためコストも低くてお勧めです。
特徴・利点
cbz基の利点や特徴は
- 脱保護の後処理が楽
- 安定性が高い
- 反応例が豊富
- 低コスト
です。還元条件を使用しないのであれば良い選択肢となります。ただし酸や塩基条件は過激な条件などでは外れてしまうことも多いので確認する必要があります。
反応機構
反応機構ー保護
機構はシンプルなアミンと酸ハロゲン化物との求核アシル置換反応です。ZClは酸クロライド特有の臭いがします。結構臭いがするので、ドラフト内で使いましょう。
反応機構ー脱保護
脱保護はPd/Cなどを用いた還元・水素化によって行います。副生成物は揮発性のトルエンと二酸化炭素なので、脱保護の後処理は楽です。
反応条件-保護
保護条件例1
ジオキサン(168mL)に2M NaOH(42.0mL)、アミン(5.00g)の氷冷溶液に、Cbz − Cl(8.12g)を滴下して加えた。 反応混合物を室温で一晩撹拌し、反応後、濃縮し、得られた水溶液をエーテルで抽出し、残りの水層を2 M HClでpH 1に調製してDCMで抽出した。有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し、保護体(8.90g、84%)を得た。Caroff, E., et al. j. Med. Chem. 2015, 58, 9153.より引用
保護条件2
0℃に冷却したTHF / H2O(50:50、0.25M)とアミン(0.0994g、0.3mmol)の溶液に、炭酸水素ナトリウム(0.0378g、0.45mmol)とCbzCl(64μL、0.45mmol)を滴下して加えた。 反応混合物を室温で2時間撹拌した後、EtOAcを塩化アンモニウム水溶液、飽和NaHCO3、ブラインで洗浄後。 硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮した。 クルードをカラム(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)で生成して目的物を95%で得た。Wu, L., et al. J. Org. Chem. 2015, 80, 3194. より引用
脱保護反応例
Cbz基の脱保護は簡単で、Pd/Cを適当な量加えて、水素雰囲気下で撹拌する。反応はTLCでモニターする。化合物が安定な場合や加水分解条件を用いる場合は、加水分解でも脱保護できる。
注意事項
- CbzClは臭いのでドラフトで使用する
- 酸や塩基条件には比較的安定だが、過激な条件(高濃度、高温)では脱保護されてしまう
- 含硫黄化合物(システインとか)の接触除去は触媒毒になったりして反応が進行しにくいことが有る→溶媒を液体アンモニア(-33℃以下)で接触還元する。また、ジメチルアセトアミドやトリメチルアミンを添加するとさらに加速する。(H.sajiki, tetrahedron Lett. 1995, 36, 3465.)
参考文献
[blogcard url=”https://www.tcichemicals.com/eshop/ja/jp/commodity/B3021/”]
[blogcard url=”https://www.organic-chemistry.org/protectivegroups/amino/cbz-amino.htm”]
[blogcard url=”http://commonorganicchemistry.com/Rxn_Pages/Cbz_Protection/Cbz_Protection_Index.htm”]