歴史上偉大な音楽家の一人として有名な「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」はクラシック音楽に親しみがない人でも名前だけでなく、彼が手掛けた楽曲も知っているひとが多いのではないでしょう?
ベートーヴェンが後天的な難聴を患っていたのは有名な話ですが、その原因については諸説上げられています。そのうちの一つが「鉛中毒」です。
ベートーヴェンはなぜ鉛中毒になったのか?鉛中毒になったのは本当なのか?
を調べてみようと思います。
ベートーヴェンは大変だった
天才音楽家の「モーツアルト」と同じ時期(1770年)に神聖ローマ帝国でベートーヴェンは生まれました。
こめやん
家庭は音楽一家でしたが、酒に溺れて稼ぎが少なかった父親はベートーヴェンの才能に気づいて熾烈な音楽教育を受けていたようです。
母親は16歳の時に他界し、家族を支えるために仕事に明け暮れていました。音楽に関しては、22歳の時に音楽の都ウィーンで活動を始めました。
難聴になるのは20代後半のときからです。28歳の頃にはすでにほとんど聞こえなくなっていたと言われています。遺書を残す絶望していましたが、音楽に対する情熱を燃やし「運命」など著名な作品を残しています。
ベートーヴェンはフリーメイソンだったのでしょうか?
18世紀の当時からフリーメイソンは存在していました。ベートーヴェンが尊敬するモーツアルトやバッハなど多くの著名な音楽家がフリーメイソンに所属していたのは有名な話です。ベートーヴェンの師匠であるネーフェや愛弟子、友人、パトロンに至るまで彼の周囲にはフリーメイソンがたくさんいたようです。しかし、ベートーベンがフリーメイソンに入会した記録は残っていません。ベートーベンはフリーメイソンには加入しなかったのは諸説あります。何者にも縛られない自由を望んでいたからかもしれません。
ベートーベン難聴の原因は鉛中毒ではない?
難聴の原因は鉛中毒であるという記載が結構多くあります。
その根拠としては、Ritter, C博士による毛髪の鉛分析によって高レベルの鉛が検出されたことが引用されています。
そもそもなぜベートーベンが鉛中毒になったか?これは当時18世紀にかけて出回ったワインには甘味料及び防腐剤として酢酸鉛が入っており、ベートーベンがワインを愛飲していたということが理由です。
酢酸鉛は古代ローマ帝国の時代から使われている甘味料の一つで、ワインの甘味づけなどに中世でも使われていたようです。
鉛には毒性があるのは現在ではよく知られています。鉛を慢性的に摂取すると食欲不振、頭痛、全身倦怠、貧血、神経症状などが現れます。
ベートーベンがお酒好きであることは事実で、死因の一つがお酒の飲み過ぎによる肝硬変などであると考えられています(糖尿病も患っていた可能性)。
鉛中毒による難聴であるとするといくつかの疑問があります。一つは20代と若い段階で難聴になっていたこと、第二に慢性鉛中毒だった場合、難聴以外の他の神経症状などが現れるはずであることです。第三に毛髪中に見つかった鉛の測定の信頼性が低いこと(外因性の鉛が付着した可能性もある)があります。また、海外では難聴の原因は鉛中毒という説はあまり言われておらず、仕事が立て込んだストレス、体調不良あるいは発疹チフス、自己免疫疾患(検死解剖の結果示唆される)などの説が提唱されています。
論文でもベートーベンの難聴の原因は鉛中毒ではないようだと結論づけています。確かに鉛中毒だった可能性は高いですが、中毒症状はもっと年をとった時に現れていたと考えられています。死の原因としてはアルコール性肝硬変など肝臓の病気によるものであると考えられています2)。また、当時流行していた梅毒という説もありますが、剖検の証拠はありません。
したがって、ベートーヴェンの難聴の原因は鉛中毒説は信ぴょう性が薄いです。
こめやん