酸塩化物は最も反応性に富んだカルボン酸誘導体で種々の誘導体合成の足がかかりとなる分子です。
酸塩化物はアルコールと容易に反応してエステル化します。
この記事では酸塩化物(酸ハロゲン化物)からエステルの合成方法を紹介します。
酸ハロゲン化物からエステルの合成
酸ハロゲン化物からエステルを合成する方法は最も強力なエステル化法です。
酸塩化物はカルボン酸から容易に変換可能で、高い反応性をもち、混合させてすぐにアルコールをエステル化可能です。酸塩化物の反応性の高さは利点の一つです。
副生する塩化水素を中和するために塩基を加えるのが普通で、触媒としても機能するピリジンあるいはトリエチルアミンを加えることが多いです。
無機塩基を利用したければ二相系で反応させるショッテンバウマン条件を使います。脂肪族の酸塩化物でなければ簡便で収率も高いです。
芳香族カルボン酸の酸塩化物は水中でもすぐに分解しないの向いています。
ショッテン バウマン反応: Schotten-Baumann Reaction
求核剤の反応性を上げる
フェノールエステルはフェノールの反応性が低いのが問題で作りにくいですが、酸塩化物では作りやすいです。特にタリウムフェノキシドが良い結果を与えやすいです。
第三級アルコールなどもアルコキシドに変換するのが良い。金属ナトリウムを使う方法もあるが計量が難しいので、ノルマルブチルリチウムを使うのが良いです。副生成物はヘキサンなので反応の邪魔にはなりません。
反応条件
カルボン酸を塩化チオニル等で酸塩化物としてから精製せずにそのままアルコールを加えるというような反応条件が一般的です。
カルボン酸(1.23 g、5 mmol)、SOCl 2(0.59 g、5 mmol)、およびトルエン(30mL)に数滴のDMFを加えて室温で5時間撹拌し、その後溶媒留去し、そのままCH2Cl2(20 mL)に溶解し、フェノール(0.61 g、5 mmol)およびトリエチルアミン(0.9 mL、5 mmol)のCH2Cl2(40 mL)溶液に滴下し、室温で12時間撹拌した。5%NaOH等で分液、再結晶により精製して収率88%で得た。
酸塩化物は精製しないで次の反応に使っています。標準的な方法です。