アルデヒドからカルボン酸に酸化するというと、「ピニック酸化」がありますが、アルデヒドは酸化されやすいのでさまざまな試薬で酸化されます。過酸化水素や過マンガン酸カリウム、クロム酸、次亜塩素酸などの酸化剤で容易にカルボン酸に変換できます。
本記事では過マンガン酸カリウムによるアルデヒドの酸化反応に着目して紹介します。
KMnO4によるアルデヒドの酸化
KMnO4は第一級アルコールを酸化してカルボン酸を得ることが可能なだけあって、アルデヒドをカルボン酸に変換するのはもっと容易にできます。
過マンガン酸カリウムによるアルデヒドの酸化は意外と選択性も高く、収率良くカルボン酸が得られます。
過マンガン酸カリウムによるアルデヒドの酸化反応条件
2mLのt-BuOH、アルデヒド(0.34mmol)の溶液に2 mLのリン酸水素ナトリウム水溶液(pH 4.4)を加えた後、過マンガン酸カリウム(0.5 M)(2.00 mmol)の溶液を加え室温で約2時間撹拌し、飽和亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)でクエンチ、HCl溶液(2M)を使用して混合物のpHを3に調整して、MnO2を溶解し、酢酸エチルで分液、精製により目的物を93%で得た。
10%KMnO4(200-300mL)の温めた溶液を5~10分かけて、還流管を付けたアルデヒド(15g)のアセトン(500mL)の溶液に加えた。50mLのKMnO4を加えると激しく沸騰し始めるので、これを維持するように滴下して加えます。反応後室温に冷やしてセライト濾過、残渣を熱水(1L)で洗浄、濾液を亜硫酸水素ナトリウム水溶液500mLを加え、濃硫酸を加えてpH1.0に調整、沈殿した生成物を濾過により収集し、真空オーブンで乾燥して目的物を得た(14.1 g、88%)。
エステルやアミドは影響を受けずに酸化できます。アルケンも条件によってはそのままでもアルデヒドのみを酸化できます。
Acetone/ KMnO4, 0℃、30min : Pichette, Andre et alSynthetic Communications, 34(21), 3925-3937; 2004
アセチル基、Boc基、TBS基、トリチル基、ボロン酸などはおかされません。