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分液の抽出溶媒として酢酸エチルをなぜ使用するの?

分液抽出で酢酸エチルを使う理由

分液ロートを使った抽出は定番の実験操作です。

学生実習や論文でもそうですが、抽出溶媒としてよく使われる酢酸エチル

酢酸エチルはエタノールと酢酸で合成する物質というイメージで溶媒として利用するというのはイメージわかないかもしれません。

そんな酢酸エチルをなぜ抽出溶媒として使用するのでしょうか?

メジャーな抽出溶媒は他にもある

植物の葉から成分を抽出するときは、ジエチルエーテルやエタノール、水なども抽出溶媒として使います。

しかし今回は分液(水と有機層の二層)で抽出するということを考えます。

分液で利用できる抽出溶媒として求められる性質は

  1. 水と混和しない
  2. 溶解力が高い
  3. 安価
  4. 分解しない
  5. 安全性が高い

などです。

分液は水と油の二層に分けて取り分けるので、溶媒は水に溶けてはだめです。

そうなると水に溶解する極性溶媒のアルコール(メタノールやエタノール)アセトン、アセトニトリルは候補から外れます。

極性高すぎの溶媒

極性高すぎの溶媒

次に溶解性を考えてみます。

化合物がどんな溶媒に溶けるか?は構造によって変化するので一概には言えません。

しかし、ヘキサンのようなアルカンは極性が低すぎて、オイル系でないと溶解しません。極性の低さでいうとベンゼンやトルエンなども極性が低めのものしか溶解できません。

極性が低い溶媒

極性が低い溶媒

溶解性を考えるとある程度極性基があるものが良いです。例えばエーテルや酢酸エチルがあります。

極性がちょうどよい

こうなると候補に残るのは酢酸エチル(ethyl acetate)、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルムです。

候補溶媒

候補溶媒

安全性を考えると、ハロゲン系溶媒、クロロホルムは発がん性の疑いがあるため避けられています。

ジエチルエーテルは沸点が低く揮発しやすいうえに引火しやすい問題があります。

次に価格を考えます。価格的にはヘキサンやメタノール、アセトンが安価ですが水に溶けるので抽出溶媒としては適していません。

その次に安価なのが酢酸エチルです。抽出溶媒は大量に使うことがあるので安価なほうが良いです。

結局抽出溶媒としては?

抽出溶媒は主にエーテル酢酸エチルジクロロメタンが良く利用されていると思います。

特殊引火物であるエーテルは近年避ける傾向があるようで、そうなるなと幅広い化合物を溶解できる酢酸エチルとジクロロメタンが良く利用されます。

実際にこの2つの溶媒は有機合成の論文でも良く利用されている抽出溶媒です。

ジクロロメタンはハロゲン系溶媒で毒性が気になるのと沸点が低く、吸引しやすいので、ファーストチョイスは酢酸エチルという感じです。

酢酸エチルはエステルのため、強酸や強アルカリで加水分解することがあるので注意ですが、基本的には安定です。

こめやん

私も酢酸エチルがファーストチョイスです。個人的にクロロホルムがお気に入りですね。少量のアルコールを加えるとさらに極性が高い化合物も溶解できるようになるので頼もしいです。



結論、酢酸エチルは抽出溶媒として優秀だった!

結論、酢酸エチルは水に混和せず、幅広い極性の化合物に対して溶解力が高く、安価で、安定であり、毒性や危険性も少ないために良く利用されているという感じですね。

そう考えると良い溶媒だというのがわかります。

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