最近、衝撃的なニュースが入ってきました。
それはオーストラリアの男性がナメクジを食べて死亡してしまったというものです。
参考 豪男性がナメクジを食べて死亡 「広東住血線虫」の被害は日本でも - ライブドアニュースライブドアニュース
記事によるとナメクジを直接食べるだけでなく、ナメクジがついていた野菜なども危険だということです。なぜなのでしょうか?
豪男性がナメクジを食べ死亡
上記のニュースでも取り上げられていますが、今月(2018年11月)にオーストラリアに住んでいる男性が、8年もの闘病生活を送っていましたが、28歳の若さで亡くなりました。
その原因とされているのが、お酒を飲んで酔った際に食べてしまった「ナメクジ」です。ナメクジを食べてからというもの、足の痛みや体に力が入らなくなってしまったため病院に行き、そこから8年間もの闘病生活になってしまったのです。
原因はナメクジじゃなかった?
一見ナメクジに毒が含まれてると思われるかもしれないですが、実際にはナメクジに寄生しているセンチュウが原因なのです。
広東住血線虫症(カントンジュウケツセンチュウショウ)
実はこの病気は広東住血線虫症という病気で、その名前の通り広東住血線虫(カントンジュウケツセンチュウ)が体内に侵入して起こる病気なのです。センチュウは一般的に直径0.5mm、幅0.2mm程度の小さな生物で、肉眼ではギリギリ見えるか見えないかぐらいの大きさです。一般的なセンチュウは土の中に住んでいるのですが、いくつかの種類のセンチュウは他の生き物に寄生することが知られています。今回の広東住血線虫も幼生の間はナメクジやカタツムリ、タニシなどに寄生することが知られています。
症状
具体的な症状としては、平均16日の潜伏期の後発症して、発熱、激しい頭痛、 項部硬直、悪心、嘔吐、、脳神経麻痺などを示し、さらに筋力の著しい低下、知覚異常、四肢の疼痛などを示すこともあるようです。感染虫体数が多い重篤例では昏睡に陥ったり、物が二重に見える複視になったり、運動障害を引き起こして、死亡する場合もあるようです。よくある例では症状が2~4週間ほど続き、自然に緩解・治癒し、通常予後はよいとされています。しかしながら、今回のオーストラリアの男性のようにひどい場合、まれに失明、知能遅延、てんかんなどの後遺症を遺したり、場合によって死に至ってしまいます。
病理
今回のこの広東住血線虫も寄生するタイプのセンチュウで、幼生の間はナメクジやカタツムリ、タニシなどにが体の中に入り込む。基本的には生体の免疫系でセンチュウを除去できるものの、中枢神経系に逃げ込んだ場合は、重篤になるとされています。
治療法
基本的には対症療法で行い、炎症が起きた際にプレドニゾロンなどの抗炎症薬を使います。また、メベンダゾールなどのベンゾイミダゾール系の寄生虫治療薬を用いる。ただしベンゾイミダゾール系薬は、害虫駆除にも使うような化合物などであり、寄生虫を選択的に除去することができないため、副作用も多い。
どうやって防いだら良いか?
まず当たり前ですが、ナメクジやカタツムリ、タニシなどを食べないように気を付けるのが大事です。もちろん生食でなく、きちんと加熱処理してあれば、線虫は死滅するので問題ないです。また、これらの生物に汚染(触れる等)された野菜は、生食ではなく加熱処理する必要があります。ナメクジやカタツムリなどを触った手をしっかり洗わずに、食事をしたりあるいは舐めてしまったりするのも危険なので、お子さんの場合は特に気を付けるようにしましょう。
日本では沖縄での症例が最も多いですが、他の県でもまれにあるようですので、検査が行われていない自身で育てた野菜や、カタツムリなどに触れた手での食事は十分に注意しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。日本でもこの広東住血線虫症はまれにですが見られているので、以下に注意してしっかり予防しましょう。
- ナメクジ、カタツムリ、タニシなどの生食は控える。
- 上記の生物が汚染されることが考えられる野菜(自分で育てた野菜)はしっかり洗いや加熱を行う。
- 上記の生物を触ったら必ずしっかり手を洗う(特にお子さんの場合はこういった生物を触りたがるので気を付けましょう)
- 少しでも症状が現れたらすぐに病院に行く。