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バッタが吐くのはなぜ?
小さいころに昆虫採集をしたことがある人は多いと思います。バッタは捕まえやすくどこにでもいるのでよく捕まえられます
このバッタを捕まえたことがある人ならわかるかもしれませんがバッタを持ってひっくり返して口のほうをみると口から黒っぽい粘性の液体を吐き出すことがあります。いったいこれは何なのでしょうか?
バッタを捕まえると醤油を吐く。#ショウリョウバッタ pic.twitter.com/0sAZw1TewT
— 旨みとコク (@3OtbRJWUWX71c8H) September 10, 2019
昆虫の中には口から吐き出すことで攻撃したり防御反応を示すものがいます。たとえばアリ・ハチの仲間口から警報ホルモンを分泌したりします。サシガメは口から消化酵素や麻痺物質出して相手を攻撃するものもいます。
実はバッタの嘔吐も捕食者から身を守るために分泌してるようです。
バッタの口から出てくる物質を分析した研究では、食した部分的に消化された植物、消化酵素、唾液などからなる複雑な混合物であることが報告されています。
これらの物質を鳥やモルモットなどの動物に投与試験を行った研究もあります。トノサマバッタの嘔吐物をモルモットや羊に対して与えたところ嘔吐や横隔膜収縮を引き起こすことから、動物に対して何らかの防御作用を示すようです。
これは脊椎動物だけでなく同じ無脊椎動物(昆虫)に対しても効果があることも報告されています。例えばアナバチはバッタの嘔吐物を体に塗布したバッタを攻撃するのを避けるようになりました。トカゲやクモ、アリなどに対しても忌避効果があるようです。
この効果はバッタが食する植物の影響を大きく受けるようです。バッタが食べる植物の種類と忌避効果について調べた論文があります。
Sword, Gregory A. “Tasty on the outside, but toxic in the middle: grasshopper regurgitation and host plant-mediated toxicity to a vertebrate predator.” Oecologia 128.3 (2001): 416-421.
本当に本人がそのつもりで吐き出しているかどうかはわかりませんが生存には多少役に立っているようですね。