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ルシフェリンとは?発光の原理、種類、作り方まとめ

ルシフェリン

図1: ルシフェリンの構造

ルシフェリン(luciferin) は、ルシフェラーゼと呼ばれる酵素によって酸化されて発光する物質の総称です。元々はホタル、深海魚、微生物などが起こす生物発光の発光源として知られていましたが、それを応用して種々の解析ツールとしても用いられています。


ルシフェリンの発光原理


図2: ルシフェリンの発光原理

ルシフェリンの発光原理は、ルシフェリンを選択的にオキシルシフェリンに変換するルシフェラーゼと呼ばれる酵素が必要になります。ルシフェリンが酵素反応することで、励起状態(エネルギー豊富な状態)のオキシルシフェリンという化合物になり、エネルギーが光となって放出されることで、発光が行われます。ルシフェラーゼの酵素反応は、基本的には酸素分子による酸化反応で、二酸化炭素が生成する酸化的脱炭酸反応です(赤で示したカルボン酸が外れてCO2として出ていく)。この反応はルシフェリン-ルシフェラーゼ反応(L-L反応)とも言われています。

生化学的な反応経路

具体的な反応経路としては2つに分けられます。

まずルシフェリンのカルボキシル基がATPのα-位のリン酸を攻撃することでルシフェリンAMP-中間体が形成されます。このステップにはマグネシウム(Mg)が関与してることが分かっていて、ATP-Mgの状態で存在している酵素内でルシフェリンが反応してAMP-Luciferin中間体になります。

次にこの中間体がルシフェラーゼによってAMPが外れることでオキシルシフェリンが生成します。このときできたオキシルシフェリンは励起状態と呼ばれるエネルギーを蓄えた状態であるため、エネルギーを光に変えて放出することで発光します。

ルシフェリンは熱が出ない?

通常、光を発生させる方法は、大きく分けて2つの方法があり、一つは、熱エネルギーを光に変換する方法(ヒーター、太陽光など)で、もう一つがルミネッセンスと呼ばれます。
ルミネッセンスは外部からの影響で、電子状態が変化することによって、物体が一時的にエネルギーの高い状態(励起状態)となった後、エネルギーの低い状態(基底状態)に戻る際に光あるいは熱としてエネルギーを放出します。ホタルなどのルシフェリンによる発光はこのルミネッセンスであり、その中でもホタルの量子収率は約90%とエネルギーの変換効率が非常に高いということが知られています。

天然に存在するルシフェリンの種類


図3: ルシフェリンの種類と構造(文献1)より引用)

ルシフェリンというと、ホタルが持っているD-luciferinが有名ですが、それ以外にも様々な生物のルシフェリンが知られています。


ルシフェリンの作り方(合成法)


図4: ルシフェリンの作り方 (文献2)より引用)

ルシフェリンの中でも、ルシフェリン(ホタルルシフェリン)を作るのは意外と簡単で、p-ベンゾキノンとシステインを中性緩衝液中で混ぜるだけでできます。2) しかしながら収率自体はそこまで高くなく、HEPES-KOH条件で反応をかけた際に45%というのが最高収率だそうです。

ルシフェリンの生合成

ホタルなどの生物もこのようにベンゾキノンとシステインからルシフェリンを合成していることも報告されています。3) 一方で、ホタルルシフェリンはチアゾリン環とベンゾチアゾール環を有する化合物であり、D 体の光学異性体のみが光活性があると知られています。もしシステインからルシフェリンが生合成されるのであれば、アミノ酸は通常 L 体なためD-ルシフェリンにはなりえません。

実はホタルの卵から成虫までのルシフェリンの含量とそのキラル体の組成の分析結果によると、ホタル体内には D 体と L 体が共に存在して成長と共に D 体が増加することが明らかとなっています。また、L-ルシフェラーゼ体からD-ルシフェラーゼ体に変換するメカニズムについても報告されています。5) 

ルシフェリンの構造活性相関: アミノルシフェリン

ホタル生物の発光色を変換するために、Triplucなどの発光酵素変異体を使った手法が用いられていますが、基質となるルシフェリンを化学的に変換することで発光色を変えることもできます。実際に、アミノルシフェリンは市販されている合成ルシフェリンの一つで、天然のルシフェリンのフェノール性水酸基をアミノ基に変換した化合物であり、北米産ホタルの発光酵素を使用することで約610nmの発光波長へ変換できます(天然ルシフェリンの場合は約560nm)。

ルシフェリンの語源

ルシフェリン(Luciferin)の語源は堕天使として知られるルシファー(Lucifer)から来ています。

ルシファー (Lucifer、ルキフェル、ルシフェルとも) は、明けの明星を指すラテン語であり、光をもたらす者という意味をもつ悪魔・堕天使の名である。- 出典: Wikipedia

ルシファーは元々、光に関連する悪魔・堕天使なので、それを取って化合物名を付けたのがルシフェリン(Lucifer+in)という訳なんですね!

ルシフェリンの発光実験

ルシフェリンを使った発光実験の様子がYouTubeに上がっていたので、参考にどうぞ!

動画1: ルシフェリンの発光実験

参考文献

1) 生物工学 第93巻 2015 408 [pdf]

2) Scientific Reports, volume 6, Article number: 24794 (2016) DOI: 10.1038/srep24794

3) PLoS ONE 8, e84023 (2013) DOI: 10.1371/journal.pone.0084023

4) Arch.Biochem.Biophys. 88(1960)136-141 DOI: 10.1016/0003-9861(60)90208-3

5) FEBS Lett., 580, 5283 (2006) DOI: 10.1016/j.febslet.2006.08.073

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