タール色素とは
タール色素は化学的に合成された色素のことです。
タールって何?
タールとは「石炭を乾留して得られる黒色粘性な液体」です。タール中には様々な芳香族化合物が含まれているため、化成品の原料として利用されます。タール色素はかつてこのタールが原料だったのでそう言われています。
自然界由来の色素
自然界には数多くの色素が存在しています。
野菜など食品の色素は身近なものであり、カレーに入っているウコンには黄色い色素が入っています。
古来より、赤飯や梅干しのように、植物由来の着色料を使って色付けする慣習がありました。
天然の色素の中には微量しか取れず高価なものがたくさんあります。そんな高価な色素を化学合成してたくさん作れたら夢があります。科学的に合成できれば色素に対する理解も深まり、新たな機能を持つ色素を作れる可能性も広がります。
化学が発展した19世紀以降は合成色素がたくさん生まれています。タール色素の始まりです。
食用タール色素の一覧
食用タール色素は指定添加物リスト(規則別表第一)に12種類記載されています。
- 食用赤色2号
- 食用赤色3号
- 食用赤色40号
- 食用赤色102号
- 食用赤色104号
- 食用赤色105号
- 食用赤色106号
- 食用黄色4号
- 食用黄色5号
- 食用緑色3号
- 食用青色1号
- 食用青色2号
公益社団法人日本食品化学研究振興財団 指定添加物リストhttps://www.ffcr.or.jp/webupload/dbcfcccd2f7590ca878eb22ba6561731fafbb383.pdf
天然色素の特徴は
- 古くから利用されている食品由来のものが多く安全性が比較的高い
- 自然な色味をつけられる
- 化学的に不安定で変質しやすい
- 品質のばらつきが大きい
などがあります。
一方でタール色素は
- 化学合成により高純度、高品質なものを作れる
- 安価
- 比較的に化学的に安定
- 鮮やかな色味
- 毒性評価が必要
という特徴があります。
タール色素は非常に鮮やかです。
下記のURLのページにには水溶液の濃度別の色見本を見ることができます。
参考 食用タール系色素|紅不二化学工業株式会社取得できませんでした赤色色素
赤色2号(アマランス:AMR)アゾ色素系
赤色2号はナフチオン酸がベースのアゾ色素です。
食品に限らず、革から繊維の染色剤としても利用可能です。
ジアゾ化したナフチオン酸と2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸をジアゾカップリングして得られます。
赤色2号の特徴
- 光、熱安定性は高い
- 酸化・還元に弱い
- Fe, Cu存在下で容易に退色
- 高い水溶性
アゾ色素はアゾ基が還元してヒドラゾ基を経由してアニリン化合物に還元したり、光酸化反応によってアゾ基がアゾキシ基に変換されて退色します。
安全性:疑い有り
赤色2号は1976年に発がん性が疑われてからアメリカで禁止とされていますが、コーデックス委員会による再評価で発がん性が認められなかったことから、日本、カナダ、ドイツ、イギリス等では利用されています。
赤色2号については依然として変異原性、遺伝子毒性などの報告があります。
赤色3号(エリスロシン)キサンテン系
エリスロシンは蛍光色素として有名なフルオレセインに4つのヨウ素を導入した構造です。
光退色しやすく、酸性に弱い(ラクトンを形成する)です。
耐熱性は高いので焼菓子類に使われます。
フルオレセイン類はレゾルシンと無水フタル酸をルイス酸存在下で縮合して合成します。
赤色3号は多くの国で認可されている合成色素で安全性も比較的高いと
赤色104号(フロキシン)
赤色3号と同様にフルオレセインをハロゲン化して合成される色素で特徴も似ている。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/32/8/32_8_620/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhp/51/2/51_75/_pdf/-char/ja
http://www.somesome.co.jp/food-color/world.html
http://www.daiwadye.co.jp/wp/wp-content/uploads/food_jp.pdf