有機化学とは?
有機化学とは生命を構成する主要元素である炭素、水素、酸素、窒素、硫黄など元素からなる物質を研究する学問です。
そもそも「有機:organic」という言葉には生命という意味があります。その対義語が「無機:inorganic」です。
こめやん
有機化学は身の回りの生きものから工業製品まであらゆるものと関係があります。生命の謎を解明したり、医薬品、農薬、インク、プラスチック、紙、繊維などを作り出す・ユニークな機能を持たせたりするのに有機化学は役立てられています。
有機化学と無機科学の扱う元素による分類はざっくりとしたものです。有機化学でも生物に存在していないような元素を扱うこともあります。
有機化学の内容は?
有機化学は有機化合物を研究対象とした学問です。
- 有機化合物がどんな元素でできているのか?(分子構造解析)
- 有機化合物をどうやって作るのか?(有機合成化学)
- 有機化合物にはどんな性質があるのか?
- 有機化合物にはどのような使い道があるのか
などを研究する学問です。有機化学は歴史的な背景から生物と密接な関係があります。
有機化学では生命がどんな物質でできているのか?人工的に作り出せるものなのか?というように生命の謎を化学の面から明らかにしようと生まれた学問であるからです。
生物を作っているのはどんな物質でしょうか?肉や骨などが思い浮かぶかもしれません。化学的な分類で言えば
- タンパク質
- 糖質
- 脂質
- 核酸
などが生体を構成している物質です。これらは全て炭素を基本的骨格とした物質です。
生物は自ら動いたり、考えたり、増えたりする不思議なモノですが、分解してみてみると、たんぱく質やDNAなどからできた物質、つまり大部分が先ほど挙げたC,N,O,H,Sなどのごく一部の元素から作られているのです。
こめやん
その秘密は「組み合わせ」にあります。元素数が少なくても複雑な組み合わせの分子を作ることで複雑な生物ができています。複雑な分子を作るのに役立っているのが「炭素」です。炭素は一個で最大4つの元素と結合できるからです。水素は一つだけしかないので
ちなみに生き物とは直接関係なさそうな石油化学なども有機化学の対象の一つです。石油も炭素を中心とした有機化合物からできているからです。当然石油から作られるプラスチックも有機化学と深い関係があります。
逆に有機化学とは別の化学には何があるでしょうか?
- 無機化学:金属や塩類などすべての元素を扱う、セラミックス、半導体、触媒….
- 物理化学:量子論など物理学的手法を用いる。光化学、界面化学などと関連する
が挙げられます。有機化学も含めてこれらは化学の基礎であるため化学を学ぶ上では全て重要です。ですから高校化学では全て学びます。
有機化学と官能基
有機化合物が持つ特徴的な性質は、実は炭素以外の元素によっていることが多いです。
- 分子の形(分子構造)
- 官能基
有機化学でたくさんの物質の分類(官能基)を覚えたのは官能基が特徴的な性質を持っているからです。
- アルカン・アルケン・アルキン・芳香族化合物(炭素骨格)
- アルコール(ヒドロキシ基:OH)
- アミン(アミノ基:NH2)
- チオール(チオール基:SH)
- エーテル(-O-)
- アルデヒド・ケトン(カルボニル基:C=O)
アルカンやベンゼンといった炭素と水素からなる骨格に対して酸素や窒素といった元素を含む官能基が結合すると分子の性質が大きく変化します。
有機化学を学びたい!大学や就職は?
有機化学と関連がある学部
有機化学と関連がある学部は以下の学部です。学部によって方向性が若干異なりますが、有機化学を学ぶことができます。
- 理学部
- 工学部(理工学部)
- 農学部(生命科学部)
- 薬学部
各学部の方向性の違いは?
どこの学部でも化学を学びますが、方向性が違います。
理学部は理論的な部分、新しい発見や理論の提唱など基礎的な部分。工学部は機能をもたせた分子を作るなど作ることにフォーカス。農学部は生物に関連した内容を扱うことが多いです。薬学部は医学・薬学などに関連した内容を扱うことが多いです。