TLCの発色試薬については本ブログではたくさん紹介してきました。
本記事では万能で高感度な改良リンモリブデン酸について紹介します。
改良リンモリブデン酸とは?
最もよく使う万能型の発色試薬はリンモリブデン酸ではないでしょうか?ヨウ素も万能ですが、リンモリブデン酸のほうが汎用性が高く、たいていの化合物は発色可能です。
ただ、これらの発色試薬は万能とはいえ、発色しにくい化合物も結構あります。また、感度がいまひとつな感があります。
高感度な発色試薬にはCAMがありますが、焼き具合がシビアで、高温で焼きすぎるとTLC板全体が真っ青になってスポットが見えなくなってしまう欠点があります。
そこで、今回紹介するのが万能かつ高感度ながら、CAMよりも簡便に扱える「改良リンモリブデン酸」です。
改良リンモリブデン酸は以下のサイトに調製法などが載っていますが、実際には使ったことがないとのことで、情報が少ない発色試薬の一つです。
改良リンモリブデン酸の調製法と使い方
改良リンモリブデン酸は通常のリンモリブデン酸はエタノールに溶解するのに対して、酸を加える点で異なります。溶媒も水を使っています。
調製法は先ほどのサイトを参考にしました。
改良リンモリブデン酸の調製法(約50 mL)
- 50 mLの蒸留水に、0.75 mLの85% リン酸 (H3PO4)、2.5 mLの濃硫酸ゆっくりと加えて混ぜる
- 1.2 gのリンモリブデン酸を入れて溶解させる
- 適当な瓶に入れて保管する。
参考:http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/Yuki/link/tlc.html
この改良リンモリブデン酸はアニスやバニリンなどと違って長期保存可能です。室温においても大丈夫です。
使い方は普通のリンモリブデン酸と同じく、展開後、溶媒を軽く乾かしてからディップして焼きます。リンモリブデン酸よりも焼く温度は低めにしてほうが良いかもしれません。
改良リンモリブデン酸はステロイドなどの脂質からアルカロイドなどのアミンまで幅広く焼くことができます。感度が高く他の検出試薬では確認できないものも検出できます。
スポットが現れてから焼きすぎるとCAMのように背景が青くなります。その前に引き上げましょう。青くなってしまった場合はそのまま焼き続けると背景が白くなります。全体が青いまんまの場合はおそらく展開溶媒を良く乾かしていないか、高沸点の溶媒の使用が原因だと思います。
リンモリブデン酸と同じ試薬が使えます。CAMのように新しく試薬をそろえる必要がないので(リン酸・硫酸があれば)作ってみてはいかかでしょうか?私は昔学生の時結構多用していましたね。
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