⚠️ 記事内に広告を含みます。

アルミナTLCの特徴と使い方

薄層板の表面に塗布されている担体はシリカゲル以外にも表面修飾シリカゲルやセルロースなどたくさんあります。その代表例がアルミナです。

アルミナTLCの特徴や使い方などを解説していきます。

アルミナに変える意味はあるの?

シリカゲルではなくアルミナに変える意味はあるのか?疑問に思う方もいると思います。

シリカゲル以外の担体を使う理由は「化合物の分離具合を変えるため」です。

シリカゲルは表面にシラノール(Si-OH)などの極性基があるため、シリカゲルTLCでは極性の高い化合物ほど表面に吸着しやすくなります。

そこで、シラノールのOH基にオクタデシル基(C18H37)を付けるとシリカゲル表面の極性が大きく低下します。すると極性の高い化合物は吸着しにくくなり、極性の低い化合物ほど吸着しやすくなります。

これは逆相シリカゲルと呼ばています。紙の表面に油を塗ると水をはじくようになるのと同じですね。

つまり、シリカゲル以外の担体を塗布することで化合物の吸着具合を調整することができます。


アルミナの特徴とは?

アルミナは酸化アルミニウム(Al2O3)であらわされる化合物です。実はルビーやサファイヤも酸化アルミニウムからできています。ボーキサイトはアルミナを主成分とする鉱石でアルミニウムの原料です。

シリカゲルは一般的に表面が酸性を呈するのに対してアルミナは塩基性~中性を呈します。塩基性アルミナや中性アルミナと区別して書かれることが多いです。酸性アルミナもあります。

シリカゲルでは吸着しすぎてテーリングする極性の高い化合物の分離・アルカロイドなどのアミン類などの分離に利用されたり、ステロイド類など極性の低い化合物の分離にも使われます。

アルミナの使い方

アルミナTLCはどんな時に使ったらよいのでしょうか?基本的にはTLCやカラムクロマトグラフィーなどもシリカゲルをメインに使っていると思います。

全体的な性能でいえばシリカゲルのほうが優秀だと思います。しかし、時にはシリカゲル以外の担体を用いたほうが良い場合があります。

  1. 高極性の化合物
  2. 塩基性および酸性の化合物(特にアミン類)
  3. 分離したいスポットが近い場合

などです。

シリカゲルに吸着しやすい高極性の化合物では時に、展開溶媒に水を加えたりする必要があります。そのような場合アルミナを使ったほうがより低い極性の溶媒で展開できるかもしれません。

中性ではない化合物、特に塩基性の化合物はシリカゲルと相互作用しやすく、テーリングしたり、吸着して原点から移動しなくなることがあります。シリカゲルを用いた場合は、トリエチルアミンなどのアミン類やギ酸やトリフルオロ酢酸などを展開溶媒に加えることで分離を改善することができますが、塩基性のアルミナを使えばこれらを添加しなくても良好に展開できることがあります。


まとめ

基本はシリカゲルが良いですが、アミンなど極性の高い化合物で分離に不満がある場合はアルミナを試してみましょう。

個人的にはアルミナを使っても結構テーリングすることが多く、結局、アミンを展開溶媒に添加したり、アミノシリカゲルなどの修飾シリカゲルを使うことが多いですね。

アルミナは溶媒精製などにも使えるのでない場合はアルミナTLC板と粉末アルミナをそろえておいても良いと思います。

全てのTLCの記事は以下のリンクから!

TLCの展開溶媒や原理など記事のまとめ TLC(薄層クロマトグラフィー)の化学まとめ!原理と展開、やり方

参考

1)Gocan, Simion. “Stationary phases for thin-layer chromatography.” Journal of chromatographic science 40.10 (2002): 538-549.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です