アルデヒドやケトンに対してグリニャール試薬や有機リチウム試薬等の炭素求核剤を作用させることによってアルコール合成が可能です。ビニルマグネシウムブロミドを用いればアリルアルコールを合成することが可能です。
ケトン・アルデヒドとグリニャール試薬からアルコールの合成
炭素数が増加してしまう欠点がありますが、ケトンやアルデヒドに対してグリニャール試薬を付加してアルキル化することにより、第三級、第二級アルコールを合成することが可能です。
ケトンやアルデヒドだけでなく、酸ハロゲン化物やエステルなども原料として利用できます。酸ハロゲン化物やエステルからケトンを合成する時にとってはアルコールの生成は副反応としてとらえられます。
視点をカルボニル化合物からグリニャール試薬のほうに移して考えてみましょう。パラホルムアルデヒドやギ酸メチルを用いると有機金属試薬から一炭素増反した第一級アルコールを合成できます。
グリニャール試薬と比べて有機リチウム試薬は反応性が高いので傘高いケトンなど反応性の低そうなものでも反応させることができます。
有機亜鉛試薬はエステルと共存することが可能なので、エステルをアルキル基に持つ化合物を合成するのに役立ちます。逆に言えばただのケトンを合成する場合はグリニャール試薬は手に入りやすいので便利です。
有機亜鉛試薬を用いた合成 – Rieke亜鉛でケトン 根岸カップリング
ビニルマグネシウムグリニャール試薬を用いるとアリルアルコールを合成することができます。
反応例
ケトンやアルデヒドに対する有機金属試薬の付加反応は簡単です。カルボニル化合物を脱水エーテル、THF、ジクロロメタンに溶解し、不活性ガス下、0℃以下に冷却しながら、1.0-1.5eqほどの有機金属試薬を滴下して加えた後、そのまま or 室温に戻しながら撹拌後、再度冷却しクエンチ、後処理を行って得ます。過剰な有機リチウム試薬を用いている場合は酢酸エチルなどを用いて注意してクエンチしましょう。