亜鉛サプリの効果とは?
亜鉛サプリは不足しがちな亜鉛を手軽に摂取できるサプリメントとして有用です。亜鉛サプリを通常の利用内で摂取している場合は副作用はほとんど気にしなくてよいでしょう。
亜鉛は人体にとって必須の元素です。亜鉛が欠乏してしまうと亜鉛欠乏症になる恐れがあります。亜鉛欠乏により現れる症状として有名なものは味覚障害です。また、食欲不振、口内炎や男性性機能異常などが見られます。寝たきりの高齢者などに現れる褥瘡も亜鉛が不足すると治癒が遅れるという報告があります。
Desneves, Katherine J., et al. “Treatment with supplementary arginine, vitamin C and zinc in patients with pressure ulcers: a randomised controlled trial.” Clinical nutrition 24.6 (2005): 979-987.
一日当たりの亜鉛の推奨摂取量は成人男性で10mg, 女性で8mgに設定されています(日本人の食事摂取基準 2015)。
亜鉛が多い食品
亜鉛を多く含む食品として有名なのはカキです。亜鉛を豊富に含む食材をとるのは結構大変かと思うので、欠乏気味の場合は食品だけでなくサプリメントから摂取するのが効果的でしょう。
- カキ:13.2 mg
- ビーフジャーキー:8.8 mg
- 煮干し:7.2 mg
- パルメザンチーズ:7.3 mg
- ココア:7.0 mg
- 豚レバー:6.9 mg
- カシューナッツ:5.4 mg
亜鉛吸収を阻害する食品
亜鉛の吸収を阻害する成分としてフィチン酸があります。フィチン酸は玄米や小麦、豆類に多いです。他に亜鉛吸収を抑える食品としては食物繊維が多い食品、コーヒー、牛乳、オレンジジュース、アルコールなどがあります。
亜鉛の吸収
食物中から吸収される亜鉛は主に十二指腸・小腸で吸収されます。吸収率は20~30%ほどで、亜鉛欠乏している人は吸収率が上がるようです。
腸管からの吸収は受動拡散と担体を介した吸収両方が関わっています。
皮膚からの吸収
皮膚からの亜鉛の吸収はやけどなど皮膚に損傷がある場合には認められていますが、正常な皮膚における亜鉛の吸収については論じられるデータが無いようです。
亜鉛の毒性
亜鉛(酸化亜鉛)の急性毒性は低いといわれています。
長期間の過剰な亜鉛の摂取にはいくつかの副作用が報告されています。
硫酸亜鉛220mgを一日3回投与した実験では男性の18%, 女性84%で頭痛や悪心、吐き気、食欲不振などの症状が見られたという報告があります。
女性は男性よりも亜鉛の過剰摂取による影響が大きいことが分かっています。通常サプリメントに含まれている亜鉛の量は十数mg程度であるため、食事で摂取される亜鉛の量を合わせても、通常の摂取量であれば副作用は気にしなくてよいと思います。
亜鉛華軟膏とは?効果は?
亜鉛は亜鉛華軟膏という外用薬として用いられています。亜鉛華軟膏には酸化亜鉛が含まれています。酸化亜鉛には炎症を和らげる効果があります。炎症を抑える塗り薬としてステロイド外用剤がありますが、ステロイドは副作用が強く長期利用には向いていません。酸化亜鉛はステロイドのような強い効果はありませんが、副作用が少ないため長期にわたって利用できます。
参考文献
- European Union Risk Assessment Report, “ZINC OXIDE” Vol.43, 2004
- Bodar, Charles WM, Marja EJ Pronk, and Dick THM Sijm. “The European Union risk assessment on zinc and zinc compounds: the process and the facts.” Integrated Environmental Assessment and Management: An International Journal 1.4 (2005): 301-319.
- 児玉浩子, et al. “亜鉛欠乏症の診療指針 2018.” 日本臨床栄養学会雑誌 40.2 (2018): 120-167.
- 倉澤隆平, 久堀周治郎, and 奥泉宏康. “亜鉛基礎研究の最前線と亜鉛欠乏症の臨床.” Biomedical research on trace elements 21.1 (2010): 1-12.