連日、温泉に繰り返し入ったりすると顔がほてりが取れず、熱っぽくなったり食欲不振になったりすることがあります。これらの症状を「湯あたり」といったりします。
せっかく温泉に行ったのに体調が悪くなるのは残念です。そこで、本記事では湯あたりが起こる原因や症状、対処法について紹介します。
湯あたりとは?
湯あたりはふらふらする、顔のほてり、全身のだるさ、食欲不振、吐き気、頭痛、悪寒、発熱などの入浴後の体調不良・症状です。
湯あたりは温泉治療などの一環で連日入浴していると起こりやすいという報告があります。永田らの報告では約一か月間で一日に20分程度の入浴を2~3回行う温泉療法プログラムを行ったところ80%被験者で3~7日目で湯あたりを引き起こすことが多く症状も軽度の人から重度な人まで様々なようです1)。
1) 永田勝太郎. “湯あたりと温泉療法 (温泉ロゴセラピー).” 日本温泉気候物理医学会雑誌 78.2 (2015): 105-107.
湯あたりが起こりやすい状況
湯あたりに対する調査研究は少なく確実なことは言えませんが、湯あたりは、硫酸泉や緑礬泉(りょくばんせん)、酸性泉で多いようです。
これらの温泉は刺激が強い温泉として知られていて、温泉皮膚炎をおこしやすい温泉として知られています。
硫化水素を含む酸性泉ではpHが1.6とかなり低いこともあって多くの方が湯あたりを経験したという報告があります1)。
一日の温泉の入浴回数も湯あたりの発生頻度の関係しています。3回以上の入浴では7割くらいのひとが経験するようです1)。
湯あたりの症状としては全身症状のほか局所症状もあります。極諸症状の多くは皮膚炎でこれらは湯かぶれとして区別して考えます。
そのほかにも、疲労していたり、高温の温泉では起こりやすいです。
湯あたりの原因は不明、酸性泉や硫黄泉など刺激の強い温泉では起こりやすい
湯あたりの処置
「ちょっと温泉にはいりすぎすぎちゃったかなー」くらいのほてりやだるさなどであればほとんど気にすることはないといわれています。
しかし、吐き気などや食欲不振などの強い全身症状が現れる場合があります。その時は入浴を直ちに中止しましょう。湯あたりは場合によって数日間続くこともあるので、2日間くらいは入浴を中止するか素早くすませましょう。
不安に思う場合や症状がひどい場合は無理せずにすぐに病院にかかりましょう。
東洋医学では良い効果を示す前に一過性の体調悪化・症状の憎悪などがおこることを「好転反応」といい、数日間続き症状が良くなっていくという考え方があります。
温泉治療でもこの「好転反応」が確認され、実際に好転反応がみられた患者のほうが快方に向かったという経験があるようです1)。しかし、好転反応は重篤な副作用が隠れている場合もあるので医師の監督下でない限り個人的な感覚で解釈するのは危険です。無理をしないようにしましょう。
湯あたりとは異なる症状
湯あたりは連日の温泉浴によって起こる症状で、一日で温泉に長時間つかりすぎてふらふらしたり吐き気を催す「のぼせ」などとは異なります。
温泉で起こる急性ののぼせや脱水症状は「温泉の熱中症」です。命の危険もあるので、すぐに温泉から上がって体を冷やして水分補給しましょう。ゆっくり浸かりたくなるものですが、熱中症の危険もあるのでほどほどにしましょう。