overnightで反応をかけて、次の日の朝確認してみるとセプタムが飛んでオイルバスの中に。。。
こんなことありませんか?
めんどくさくて、テープなど巻かずに反応をかけてしまったのが失敗ですね。
そもそもセプタムが飛んでく場合と、飛ばない場合はどう違うのでしょうか?
ちょっと気になったので調べてみました。
セプタムの種類
セプタムと一言で言っても、実際には材質によって色んな種類があるようです。以下の表は有機反応用のセプタムではなくバイアル用のセプタムですが、材質ごとに対応した溶媒や温度が載っているので参考までに載せます。
表1: セプタムの材質と適用範囲- アジレントHPより引用 1)
この表を見ると意外と多くの溶媒が非対応になっていますし、使用温度も有機反応に使うには耐久性が低いですね。バイトン(フッ素ゴム)だと耐熱性が高いですが、意外と非対応の溶媒も多いです。
自分が使っているのはクリームW栓というタイプのセプタムですが(色んな研究室でよく見る一般的なタイプ)、素材自体は天然ゴムなので、こちらの表で行くと、非対応溶媒は塩素系溶媒・芳香像族・炭化水素・二硫化炭素になり、最高使用温度は100℃未満になります。
確かに自分が使っているときのセプタムが外れてしまった記憶では、溶媒としてベンゼンやトルエンで加熱還流していた時が多かった覚えがあります。大体セプタムはへにゃへにゃになっていたので、溶けていた可能性もありますが、どちらかと言えば耐熱性がだめだったのかも知れません。
反応系に使うセプタムについてはアルドリッチのサイトに載っていますが、天然ゴムの場合は85℃とこちらも思っているより耐久性が低いですね。2)
セプタムが飛ばないようにするには?
さて、セプタムが思いのほか脆いことが分かったと思いますが、皆さんはどういった対策をしていますか?
いくつかセプタムが飛ばない対策法があるので紹介します。
① テープで巻く
パラフィルム・(フッ素)シールテープ・ビニルテープなどを使ってセプタムを巻くというのが、一般的かも知れません。
自分はこの方法を使っている場合が多いですが、きちんとやらないと飛んで行ってしまうこともあります。自分の場合は、大体【シールテープ+ビニルテープ】か【シールテープ+パラフィルム】にして二種類巻いてます。フッ素シールテープがテフロン製で試薬耐性が高いので、必ずシールテープを先に巻いてから、その上に他のを巻きます。接着力という点ではシールテープよりもパラフィルム・ビニルテープの方が優れているので、そういった意味でもこの順番がオススメです。
② 針金で巻く
古典的な手法かつ強く巻きたいときは針金ですね。こちらは巻くのが大変なのと、強く巻くと取り外すのも大変という難点があります。ただしテープよりも固定されるので、上記のようにきつい条件でセプタムが飛んでしまった!なんてことは回避できます。念のため、テープ類と併用するのがオススメです。
③ 結束バンドを使う
電気製品のコードなんかを止める結束バンドもセプタムを巻くのに有用です。こちらは針金より巻くのは簡単ですが、外すのが大変だったりします。マイナスドライバーなどを使うと簡単に外せたりしますよ。
一応セプタム専用の結束バンドもアルドリッチから出ているみたいなので、きちんとメーカー品を使いたい場合はそちらの方が保証はされていると思います。こういうのが出ている以上は結束バンドがメーカー推奨のやり方なんですかね?
画像1: アルドリッチ製セプタム用結束バンド-アルドリッチHPより引用 3)
参考文献
1) アジレント・テクノロジー株式会社「セプタム選択ガイド」, <https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1002154> 2019年7月6日アクセス
2) メルク Japan「セプタム -septa-」, <https://www.sigmaaldrich.com/japan/labware/septa.html> 2019年7月6日アクセス
3) メルク Japan「セプタム > アクセサリー」, <https://www.sigmaaldrich.com/labware/labware-products.html?TablePage=13452051> 2019年7月6日アクセス