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アルキルリチウム・グリニャール試薬に二酸化炭素を導入しカルボン酸

二酸化炭素の芳香環への直接導入

芳香環に直接カルボン酸を導入する方法は多置換ベンゼンを合成する際に重要な反応になります。芳香環のハロゲンもしくは直接のメタル化によって求核種を作り、それを二酸化炭素と反応させます。

本記事では二酸化炭素による芳香環の直接的カルボン酸導入の方法や特徴を紹介します。

カルボン酸を直接芳香環に導入する!

カルボン酸は入手が容易なエステルを原料としたり、ハロゲン化アルキルにニトリルを導入、加水分解してカルボン酸を得る方法が脂肪族化合物では常法です。

一方、芳香環に対してカルボン酸を導入する場合も同様にハロゲンを前駆体としてメタル化を行い、二酸化炭素との反応によってカルボン酸を導入する方法が便利です。

芳香環の直接カルボン酸の導入

芳香環の直接カルボン酸の導入

二酸化炭素が合成に使われるというと奇妙な感じがするかもしれませんが、意外と反応するんです。

原料は有機リチウム試薬やグリニャール試薬が良く利用されますが、他にも有機亜鉛試薬、ホウ素試薬、スズなども使えます。

芳香環の直接カルボン酸の導入に使われる金属試薬

芳香環の直接カルボン酸の導入に使われる金属試薬




脂肪族・脂肪族ハロゲン化物をメタル化してカルボン酸に変換!

ハロゲンは容易にグリニャール試薬やリチウム試薬により有機金属試薬を調製できます。

芳香族ハライドにカルボキシル基導入例1 Br→COOH

芳香族ブロモ基をカルボン酸に

Rombouts, Frederik J. R. et al ACS Medicinal Chemistry Letters, 6(3), 282-286; 2015

2つ口底フラスコに、窒素下で臭化物(8.58 mmol)と脱水THFを加えた溶液をドライアイス-アセトン浴で-78℃に冷却し、n-BuLiの溶液(ヘキサン中2.5M、3.77mL、9.43mmol)をシリンジを介して10分かけて加えた。添加が完了した後、混合物を1時間撹拌した。次いで、反応混合物を、窒素雰囲気下でカニューレを介して固体CO2に注いだ。混合物を徐々に室温まで温めた。水で希釈し、2 N HClでpH = 1に酸性化し、最後にAcOEtで抽出した。有機相を分離し、MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮して目的物を84%で得た。

ブロモをリチウムと交換し、二酸化炭素と反応させることによってカルボキシル基を導入しています。

芳香族ブロモをグリニャール試薬としてカルボン酸に変換

芳香族ブロモ基をグリニャール試薬にしてカルボン酸に

Gothard, Chris M. and Nowick, James S. Journal of Organic Chemistry, 75(6), 1822-1830; 2010

よく乾燥したフラスコを窒素置換し、ハロゲン体(5.0 g、16.9 mmol)を。透明な溶液が形成されるまで、THF(約25 mL)をシリンジで加えました。次いで、THF中のi-PrMgClの2.0M溶液(8.7mL)を、シリンジにより25℃で撹拌溶液に加え、次いで窒素雰囲気下で20時間撹拌した。その後ドライアイス(約20 g)を少しずつ加えると、反応混合物の色が淡黄色から青緑色に変化しました。さらに90分間混合した後は元の明るい黄色に戻った。反応混合物を濃HCl(水溶液)(約5mL)で酸性化し、次いで水(75mL)でエーテル(3×100mL)に抽出した。有機層を水(約100 mL)で洗浄した後、1 M KOH水溶液(3×約30 mL)で抽出しました。アルカリ溶液を濃HCl(水溶液)で酸性化し、得られた白色沈殿物を水で洗浄して目的物を(3.7g、85%)得た。

グリニャール試薬を使ってメタル化して二酸化炭素であるドライアイスを加えてカルボキシル基を導入しています。

実際にグリニャール試薬を作る

マグネシウムからグリニャール試薬を作る

Uemura, Takashi et al Journal of the American Chemical Society, 132(13), 4917-4924; 2010

無水THF(50mL)を、窒素雰囲気下で100mLの三口フラスコ内のマグネシウム削り屑(0.96g、40mmol)に加えた。 原料(1.99 g、8 mmol)を加えた後、混合物を60℃に加熱し、1,2-ジブロモエタン(3.30 g、18 mmol)を加えてマグネシウム金属を活性化しました。得られた混合物を60℃で15時間撹拌し、-78℃に冷却した。過剰量のドライアイスを反応混合物に加え、混合物を室温に到達させた後、3時間撹拌した。 HClの3N水溶液(20mL)で反応を停止させ、ジエチルエーテル(20mL)で抽出した。有機層を水で数回洗浄し、Na 2 SO 4で乾燥させた。溶媒を除去し、白色粉末生成物を真空で乾燥させた(1.20 g、83%)。

グリニャール試薬による交換反応が便利ですが、自前でグリニャール試薬を作るのも手です。

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