ニトリルはアミドと同様に還元によりアミンを生成します。アミドと同様にLiAlH4などの還元剤でアミンを合成できます。
ニトリルの還元でアミンを合成する
ニトリルはアルキルハライド等の求電子剤を原料に求核置換反応により簡単に導入できることから有用な窒素源です。
ニトリルは加水分解によりアミド、カルボン酸に変換可能ですが、還元によりアミンを合成することも可能です。
アミドの接触還元はN-Cを開裂してニトリルの還元は、Pd, Pt触媒を用いて接触還元が可能です。
ニトリルの還元条件
ニトリルの還元条件は後処理などが容易な接触還元が最も良く用いられます。接触還元ではイミンを経由してアミンに還元されます(イミンがアミンと反応することがあるので注意する酸の添加が有効)
CHCl3(10 ml)、無水EtOH(20 ml)および37%HCl(1 ml)にニトリル(1 g、5.46 mmol)を溶解し、Pd / C(400 mg)を加えて水素条件下、24時間攪拌した。ろ過して除去した後、濃縮、再結晶により81%で得た。
アミドとは異なりニトリルは接触還元でアミンに変換できます。LiAlH4を使うよりも簡便なので良く利用されます。
接触還元条件は比較的強い条件が必要です。塩酸を加えると還元の効率が上がります。酢酸やギ酸なども有効です。水素圧を高くしたり、温度を上げなければ進行しないこともあるようです。
接触還元であるため、ニトロ、アリールハライド、カルボニル、アルケンなどは還元を受けます。
LiAlH4とAlCl3を用いる方法
THF(10.6mL)、AlCl3 (462mg、3.46mmol)の溶液に、1M LiAlH4 in THF (10.38mL、 10.38mmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、THF(9mL)中のニトリル(845mg、2.31mmol)の溶液をカニューレで滴下して室温で一晩撹拌した。0℃に冷却し、30%KOH水溶液でクエンチした。抽出、濃縮、精製操作により98%で得た。
AlCl3を加えて反応性を変えています。この条件ではエステルやラクタムも還元されています。Pd/Cとは異なり、多重結合は還元されないです。ニトリルの還元はLiAlH4だけでも進行します。
乾燥THF(10mL)中のNaBH4(0.026g、0.7mmol)の溶液を、ニトリル(0.1g、0.7mmol), THF(10 mL)の溶液にアルゴン下0℃で滴下し、混合物を70℃で6時間反応後、 0℃に冷却した後、20 mLの水を反応液に加えてクエンチし、抽出し、カラム精製により目的物を90%で得た。
ベンゾニトリルなどはNaBH4でも還元することが可能です。塩化コバルトや塩化ニッケルなどを触媒として加えることもあります。
BH3で還元
無水THF(40mL)ニトリル(2.00g、7.87mmol)の溶液に0℃でBH3.THF(11.6mL、11.7mmol)を加え、室温で 39時間攪拌し、0℃に冷却しMeOHでクエンチし濃縮後、粗生成物をMeOH(40 mL)に溶解し、0℃に冷却し、濃HClでpHを2に調整した。室温24時間攪拌した後、濃縮、残渣を水に溶解し、pH8に調製、ジクロロメタンで抽出し、濃縮して目的物を93%で得て精製せずに次の反応に用いた
BH3でも還元可能です。BH3はアミンと反応することから錯体をアミン体にするために塩酸で撹拌する必要があります。選択性は比較的高いので、接触還元やLiAlH4等で侵される官能基がある場合はBH3を使うと良いです。