フェノールの合成法として最も有名で実用性の高い反応がアニリンをジアゾニウム塩にした後にヒドロキシ化する方法です。
芳香族アミンをフェノールに変換
芳香族アミンはニトロ化などから容易に合成できるので有用なビルディングブロックです。
アニリンのアミンは硫酸などの酸性条件下、亜硝酸ナトリウムと反応してジアゾニウム塩をつくります。
ジアゾニウム塩は続く加水分解によってアミンに変換されます。
このジアゾニウム塩をハロゲン化する反応はザンドマイヤー反応と呼ばれています。フェノールの合成もザンドマイヤー反応の一種ですね。
ザンドマイヤー反応: Sandmeyer Reaction
反応条件
反応条件のバリエーションは少なめです。基本的には亜硝酸ナトリウムと硫酸を混合させてジアゾニウム化させたのちに加水分解するだけです。
ニトロソニウムイオンに対するアミンの求核付加反応により反応が開始されるので電子求引基を持つアミンは反応性が低くなります。
40 mLの15%H2SO4にアミン(1.9 g、10.0 mmol)を溶解し、0°Cに冷却し、NaNO2(0.76 g、11.0 mmol)の水3mL溶液を滴下しました。 得られた混合物を0〜5℃で5分間撹拌した。 過剰のNaNO2は尿素で中和し、次に、5 mLのH2SO4-H2O(v / v 1:2)を加え、混合物を5分間加熱還流しました。 加熱還流しながら、H2SO4-H2O(v / v 1:2)5 mLを3回加えました。25℃に冷却し、抽出、精製操作により目的物を62%の収率で得た。
ニトロ基のような電子求引基をもつ芳香族アミンはジアゾニウム塩が安定化しており単離可能です。酸は硫酸が良く利用されます。
ジアゾニウム塩の分解時に10%硫酸水溶液と硫酸銅などの銅塩を加えて還流すると加水分解しやすくなります。
官能基許容性
第三級アルキル、カルボン酸、アリールエステル、アリールアミド・ラクタム、二類ミド、ニトロ基、アリールケトン、フェノール、アルコール、アルコキシ、ニトリル、アリールハライド(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)第二級・第三級アミン、スルホン酸、チオフェノール
などは存在してもOKです。結構選択性は高いです。
一方で、潜在的に酸加水分解条件に弱い部位は注意しないと壊れます。例えば、アセトアミド→アミン、メチルエステル→カルボン酸などです。