栄養成分、不足すると健康を損なうなどというとまずビタミンがまっさきに上がるのではないのでしょうか?
1910年日本人の鈴木梅太郎がビタミンを初めて発見したいうことから、日本ではビタミン研究が盛んに行われてきました。それから13種類のビタミンが発見されました。
そんなビタミンですが、1948年のビタミンB12以来、新しいビタミンの発見はありませんでした。
しかし最近になって、半世紀ぶりのビタミン発見?ということで賑わいました。それが「PQQ:ピロロキノリンキノン」です。
PQQは新種のビタミンなのか?
長らく必須ではないのか?と考えられていたPQQですが、「どのように機能しているか生化学的な役割が不明であるためビタミンであるとは言えない」と考えれていました。
そんな状況に対して利権の笠原らは2003年にその生化学的な役割発見し、PQQが新種のビタミンであるとnature誌に報告しました。
PQQのこれまでの研究
PQQの発見は1979年で、NADやFMNなどと同じ第三の酸化還元補酵素として最近から見つかりました。このPQQを含まない餌を与えたマウスは、成長不良、皮膚が脆い、繁殖能力の低下が見られるため、ビタミンのような重要な栄養素の一つではないかと考えられていました。しかし、その生化学的機能が不明でした。
理研の研究では、アミノ酸の一つであるリシンの代謝において、リシンの脱アミノ化、酸化の過程で生じる2-アミノアジピン酸(AAA)から2-アミノアジピン酸(AAS)に変換する酵素であるAASDH(AAS脱水素酵素)の遺伝子を発見し、解析の結果、細菌で見つかっていた特徴的なPPQ結合配列がAASDHのC末端側に存在していることを発見しました。これによって、PQQがこのAASDHの補酵素として使われていることを発見したのです。
PPQはビタミンではないのでは?
この発表に対してRuckerらはPPQはビタミンではないのでは?という内容の報告を行いました。
Rucker, Robert, et al. “Biochemistry: is pyrroloquinoline quinone a vitamin?.” Nature 433.7025 (2005): E10.
内容としては、笠原らの報告を基に、マウスで起こるというPQQの不足によるリジン代謝の阻害が起こるかどうか再現実験を行ったが、肝臓のAAS脱水素酵素の活性レベルの低下やAAAの血漿中濃度低下などは観測できなかったという再現性の問題を指摘しています。
これに対して理研はリプライを行っています。
実際のところビタミンかどうかについては今後に続く研究結果しだいというところのようです。
PPQの栄養素としての効能
1.活性酸素消去能(抗酸化能)
2017年に名古屋大森郁恵らはPPQが線虫の寿命を30%延長させることを発見しました。これはPQQの作用による活性酸素レベルの低下によるものだと報告しています。
2.急性肝機能障害の予防
PPQの活性酸素種消去能によるものであると考えられている。ラットの四塩化炭素誘発性肝障害を防いでいる。
PPQが含まれる食品はなにか?
PPQは特に、お茶や納豆、果実に多く含まれていることがわかっています。
[Kumazawa et.al.,Biochem.Biophys.Res.Commun. 193, 1-4,(1993). Kumazawa et.al.,Biochem.J. 307, 331-333,(1995)より引用]
納豆が圧倒的に多いです。PPQ摂取目的なら納豆を食べるのが良さそうですね。他に手軽にとれる食品で考えると、お茶、ピーマン、キーウイ、などが良さそうですね。なんとなく緑の食品に多いのでしょうか?
サプリメントも発売されています。コエンザイムQ10に続く新たな売りどころですね。
DHC、Lifeextensionなどで販売されています。