アトピー性皮膚炎などに効果があるといわれている温泉ですが、実は人によっては温泉に入ることで皮膚炎になる場合もあります!
温泉につかることで発症する皮膚炎を「湯かぶれ」や「湯ただれ」と言います。
すぐに肌が荒れたり、湿疹ができやすい人など注意が必要です。
もしも、温泉につかっているときに肌がピリピリと痛む場合は長い時間つからないように気を付けましょう。
今回は湯かぶれや湯ただれといった温泉にはいることで発症する皮膚炎について紹介します!
湯かぶれは酸性泉で起こりやすい?
温泉につかることで皮膚がぴりぴりと痛んだり、発疹や発赤などを生じる現象は、湯かぶれや湯ただれと呼ばれており、古くからその存在は知られています。
医学的には温泉皮膚炎とも呼ばれています。
実はこの温泉皮膚炎、古くから知られていますが、どうして発症するのか?詳しいメカニズムは不明で研究もあまりなされていません。
ただし、どのような泉質であると発症しやすいのか?どのような成分が皮膚炎にかかわっているのか?ということについては色々と分かってきています。
湯かぶれを起こしやすい泉質は硫酸泉や硫黄泉ということが分かっています。
湯かぶれがおこる部位は股間、脇などの関節部位に好発するといわれています。草津温泉などは硫酸泉であり、虚弱体質の人にはあまり向かないとされます。
こめやん
湯かぶれや湯ただれの原因
温泉皮膚炎の原因は詳しくはわかっていないようです。原因は1つではなく、複数の原因があると推測されています。
湯かぶれが起こる原因として挙げられているのは
- 入湯過程で混入した有機物質 (泥、腐植土、微生物など)によるチクチクなどの物理的作用あるいはアレルギー
- 酸性
- 溶存硫黄成分(H2S, S)
湯かぶれが好発する温泉の成分を分析すると主に硫黄系の温泉で良く起こり、H2Sや硫黄の量と関連があったと報告されています。さらに酸性(プロトン)は発症を増強させる因子として考えられています。
また、温泉中に入っている砂、泥や落ち葉などが皮膚をひっかいて刺激を与えることがきっかけになるという報告もあります。アレルギーが起こるという場合もあります。
湯かぶれの原因を調べた研究
マウスのしっぽを使った人工温泉を作成してその炎症を調べたところ、湯温40℃、10分間の浴を一日に二回行った結果、硫化水素泉10mg/L, pH6.8~7.0と酸性泉 pH4.0以下では皮膚炎が発生することが報告され、酸性と硫化水素が皮膚炎と関係することが示されています。
一方で、ヒトでの実験では、温泉水よりも温泉水中に含まれる懸濁物による物理的な刺激が皮膚炎を起こす可能性を示唆する結果が得られています(温泉中の沈殿物を懸濁させた温泉水でのみ皮膚炎が確認された)。
人口温泉湯を用いた時と比べて天然温泉を用いた際に炎症が軽度であるのは、温泉自体の消炎作用が働くためと考えられています。
湯かぶれを防ぐためには?
湯かぶれを予防する方法としては
- 酸性・硫黄泉を避ける(皮膚の弱い人)長時間つからない
- 入浴後に真水で洗い流す
- 底をかき回したりしないように静かに入浴する
湯かぶれは酸性もしくは硫黄成分(H2S, S)が多いと起こりやすいといわれています。
特に皮膚の弱いという自覚のある人はこれらの温泉にはあまり長時間つからないように気をつけましょう。刺激の少ない湯では消炎効果により皮膚炎が治癒するという報告もあるため優しい泉質の温泉につかりましょう1)。
久保田一雄, et al. “成人型アトピー性皮膚炎に対する草津温泉療法.” 日本温泉気候物理医学会雑誌 62.2 (1999): 71-79.
お湯に使った後に真水で流すことで皮膚表面の湯かぶれ原因物質を洗い流すと湯かぶれを予防できるかもしれません。
濁り成分が物理的に刺激するという報告もあるので、静かに湯につかって底をかき回したりしないように入浴するのも湯かぶれ防止に役立つと思います。
今度温泉に行ったときは温泉の注意書きをよく読んでみると、「体が弱っている人には向かない」などと注意が書かれているのでそれを見てみましょう。
湯かぶれはそこまで怖がらなくても大丈夫です。皮膚が弱い自覚があるひとなどは温泉の成分に注意してみましょう。