ヒポクラテスの登場まで
病気を治療しようという試みは、人類出現の当時から考えられていたことでしょう。
紀元前5000年ごろには、中国には医の神様がいました。さらに、インドにおいても、紀元前1500年前に書かれたベータ医典という医学書がうまれ、外科手術などの記載もあるそうです。
紀元前400年頃ギリシアで活躍したヒポクラテスは、病気を超常現象的なものであるとは捉えず、科学的に病気を観察し、経験科学的なアプローチで病気の治療にあたった医学の祖と称される人物です。ヒポクラテスは、病気は血液や粘液などの調和が乱れることで起こると考え、それを回復するには、適切な食事や新鮮な空気、十分な睡眠、適切な運動が必要であり、薬物も使用していた。
ヒポクラテスの誓い
ヒポクラテスの近いは現在も医師の道徳的規律として生き続けています。
「患者の利益になると思う治療法を選び、患者に害となる方法は取らない。市に導くような薬は与えない。流産もさせない。患者の身分や性別による差別をしない。秘密は人に漏らさない」
等の記述があります。
近代医学の勃興
近代医学が発達したのはルネサンス期です。レオナルド・ダ・ビンチは非常に精巧な人体の臓器図をかいている。さらに1628年には、ハーヴェイが血液循環の生理を初めて解き明かした。1761年にアウエンブルガーによる打診法の開発、1819年にはラエンネックによる聴診器の開発により臨床医学が発展してきた。
1796年にはイギリスのジェンナーが予防接種を発明し、牛痘接種により天然痘の予防に成功しました。
科学的に生命現象を観察する
ベルナールは実験医学序説という著書を通して生理学に実験的手技を導入しました。有名なルイ・パスツールは腐敗の原因が微生物によるものであることを発見し、イギリスのリスターは外科手術における感染予防のために、フェノールによる消毒法を初めて手術に使用しました。コッホは結核菌やコレラ菌などを発見し、疾患の原因となる微生物を明らかにしました。また、1895年にはレントゲンがX線を発見し、放射線診療学の基礎が構築されました。
20世紀の医学
感染症に対する効果的な治療法が生まれたのは、1927年のフレミングによる抗生物質ペニシリンの発見からです。それから発見された多くの抗菌薬は多くの病気の治療に役立っています。ワクチン療法も発達し、天然痘に限らずポリオなどのワクチンも開発された。昔は死の病だった、結核やハンセン病、ペストなどの治療もできるようになった。
逆に新たに問題となる感染症も生まれた。HIV、エボラ出血熱ウイルス、新型インフルエンザ、MRSAなどの現法での治療が難しい感染症もうまれている。