前回は化学結合の正体は電子だったということを紹介しました。
今回は、たくさんの分子の構造を見てみたいと思います。名前を見て構造をイメージできるようになればよいです。
構造式と組成式
組成式はC6H12O6のようにどの元素が含まれているかを元素ごとにまとめて書いた式のことです。
NaOHのように簡単な組成式なら構造を書くことができますが、C6H12O6のようにたくさんの元素がある場合、
同じ組成式を保つ構造がいくつかかける場合があるので、組成式からは構造の情報が正確にわかりません。
構造式は、組成式と異なり、構造式からその分子の構造がわかる書き方をしているものです。
構造式の書き方として、分子間の結合を線で表す書き方があります。
単結合:一重線
二重結合:二重線
三重結合:三重線
という具合です。
多重結合とは?
実はまだ紹介していない分子同士の結合があります。
それが二重結合や三重結合といった多重結合です。
同じ原子同士で二度、三度結合を作っても問題ありません。
また、分子構造を書く上での注意点とかを紹介します。まずは、描いた構造の原子同士は最も離れるように書くのがルールです。実際の構造もそのようになっています。
そしてCH4など、4つの水素を書くときは二次元上では90°離れた構造が最も離れていますが、実際の分子は3次元ですので実際は正四面体の頂点に水素が位置するような構造をしています。紙に書くときは90°の形で良いともいます。
・線状で構造を書くときは水素は省略して書きます。水素があると分子の構造が分かりづらいからです。炭素のCも省略して書きます。角に炭素が存在するとします。
ちなみに炭素のラインを「骨格」というような表現をします。炭素のつながりはその分子の背骨のようなもので、簡単には切れたりしないからだと思います。
実際に、炭素と炭素(C-C)の結合を切るのもつなげるのは水素と酸素(O-H)、水素と窒素(N-H)などを切り、つなぐよりもずっと難しい場合が多いです。
・くさび形の線(くさびは土に刺すくいのようなもの)は紙にたいしてこちら側かあちらがわかという位置関係を示すのに便利です。点線のくさびは紙面に対してあちら側ということを示します。
一緒にタミフルの構造式を試しに書いてみました。
タミフルはインフルエンザウイルスに対する薬(抗ウイルス剤)です。
想像よりも簡単な構造をしていると思いましたか?登場している原子もC,H、N、Oだけですよね。炭素骨格を主として、この4つの元素作られる化合物を「有機化合物」といいます。生物を作っている重要な化合物の多くは有機化合物です。
この有機化合物を中心に扱う学問を「有機化学」といいます。
今後はこの「有機化学」を中心にみていこうと思います。