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触媒毒とは?パラジウム炭素や白金触媒の触媒毒の例

触媒毒とは?

触媒毒とは?

触媒毒は触媒と反応して触媒作用を阻害する物質のことです。触媒は繰り返し利用可能ですが、使用していくと性能が低下していきます。この原因のひとつが触媒毒による作用です。

触媒毒は金属表面に強く吸着することで、覆ってしまい活性を落とします。つまり金属と強く結合する分子が触媒毒となります。

触媒の表面を物理的に覆ってしまうことで触媒活性を低下させるタイプの触媒毒と触媒と化学的に結合することによって触媒活性を低下させるタイプの触媒毒があります。

活性の高い金属ほど被毒されやすく、白金触媒はその例です。


触媒毒となる分子の構造

求核性の高い分子(ローンペアを持つ)は触媒との反応性が高く触媒毒となりえます。代表的な触媒毒は硫黄化合物やハロゲン化合物があります。

  • 硫黄(単体硫黄、硫化水素、チオール、チオフェノール、ジスルフィド、チオフェン:スルホン、スルホン酸は非毒性)
  • 窒素(アミン、ピリジン、キノリン、アニリン:第四級アンモニウム塩は非毒)
  • リン(ホスフィン:ホスホン酸などは非毒)
  • COイオン
  • CNイオン
  • 酸素
  • ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、ヨードメタン)
  • アセトン
  • 水銀、鉛等の重金属類

触媒毒となる物質はこれまで通ってきた合成経路のどこかで混入しているかもしれません。

例えば前反応でヨードメタンによるメチル化をした次のステップで触媒反応を行う場合前反応のヨウ素が影響する可能性があります。

白金に対する触媒毒

白金触媒は被毒されやすいので注意します。溶媒や原料に触媒毒が混入しないように気をつけます。白金はS、Sb、Se、P、CN-などが触媒毒になります。

また、重金属も触媒毒となります。例として、銅イオン、銀イオン、マンガン、鉄、亜鉛、水銀、スズ、鉛などがあります。

ニッケルに対する触媒毒

ニッケルは硫黄やハロゲン化合物に被毒されやすいです。

溶媒から触媒毒を除く方法

溶媒中の触媒毒は溶媒に不溶な金属中還流、蒸留することで除去できます。パラジウムや白金は高いため、ラネーニッケルなどニッケルを使うことが多いです。

触媒毒を無毒化する方法

触媒毒を試薬として加えなければならない場合や混入が避けられない場合などでは触媒毒となる物質の性質を変化させれば無毒化できます。

よくある方法はアミン系の物質を使用するときに酸を加える方法です。アミン類は触媒毒となるため、酸を加えてアミン塩とすることで触媒への反応性を低下させられます。

参考文献

  1. 山中龍雄. “水素化触媒の被毒現象と選択的水素化について.” 有機合成化学協会誌 14.3 (1956): 125-136.
  2. ScienceDirect “Catalyst Poisoning
  3. Argyle, Morris D., and Calvin H. Bartholomew. “Heterogeneous catalyst deactivation and regeneration: a review.” Catalysts 5.1 (2015): 145-269.

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