キャピラリーとは?
キャピラリーは日本語で「毛細管」といいます。キャピラリーは有機合成では主にTLCにスポットする時に使用しますが、生物では胚操作など細胞の操作にも用います。キャピラリーの材質はガラスで、販売されていますが、自分で簡単に作ることができます。有機合成で用いるようなクオリティのものであれば十分です。キャピラリーは有機合成を始める時には必ず必要になるので、新学期が始まった新人さんや実習の最初の授業で作らされることも多いと思います。簡単にキャピラリーの作り方を解説します。
キャピラリーの作り方
キャピラリーはパスツールピペットやガラス管、太めの毛細管を用いてバーナーで熱した後引き伸ばして作ります。ガラスの材質は軟質のガラスを使います。硬質のガラスは適しません。パスツールピペットを使ったキャピラリーの作り方の手順は
- ブンゼンバーナー、パスツール(長いほう)、アンプルカッターを用意する。
- 周囲に可燃性のものが無いことを確認し、ブンゼンバーナーの火をつける。空気を入れて完全燃焼させる。
- パスツールの両端を持って、三角形の内炎の少し上のあたりの炎に当てる。この時ゆっくり回転させてまんべんなく温めるようにする。
- 30秒ほどあたためるとガラスが熱で柔らかくなって片手で持つと重力で容易に折れ曲がるようになる。
- 炎から出してすぐに両端を引っ張るように引き伸ばす。この時早すぎるとちぎれてしまい、遅すぎると引っ張れなくなります。
- 焦げ付かない台の上に置いて冷ましたあと、アンプルカッターで好きな長さに切りそろえます。
キャピラリーの内径は炎から出して引っ張る時のスピードがゆっくり、短く引くほど太くなります。速く、長く引くと細くなります。好みの太さが作れるようになるように練習します。ガラス管でも、市販の毛細管でも伸ばし方は同じです。温めるスピードや引っ張る具合が変化するだけです。
バーナーの使い方はこちらブンゼンバーナーの使い方
注意点やコツ
やけどに注意!
熱してすぐのキャピラリーは非常に熱くなっていて触るとやけどします。油断するとなぜか熱した部分にふれてしまう人が必ずいるので注意しましょう。
うまく引っ張れない
両端を引っ張ってもうまく引けない人は、1.温め不足が一番の原因です。重力で変形するくらいまでガラスを温めましょう。それ以外には、2.火から出してすぐに引くことです。もたもたしていると冷めて固まってしまいます。また、引くスピードもゆっくりすぎると固まってしまいます。こればかりは練習してコツを掴みましょう。
引っ張ると切れてしまう
すぐに切れてしまう人は、火の中に入れた状態で引っ張ってしまっている可能性があります。また、引っ張るスピードが早すぎる場合も切れてしまいます。
参考動画
市販の毛細管を引き伸ばして作っています。