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トリフラート化反応のまとめ

トリフラート化反応

トリフラートとは?

トリフルオロメタンスルホニル基(CF3SO2-)はTfと略され、トリフラート基、トリフリル基と呼ばれています。CF3による高い電子求引性によって、トリフルオロメタンスルホン酸の酸性度は非常に高く、pKaは-14を示します。一方、ヒドロキシ基をトリフルオロメタンスルホニル化することによって、アルコールの酸素原子はTf基による安定化を受けて、良い脱離基となります。

トリフラート化反応

このように水酸基のトリフラート化は水酸基を良い脱離基に変換するために利用されています。


トリフラート化の反応機構

トリフラート化の反応機構はアルコールのトリフリル基の硫黄原子への攻撃により開始され、トリフラート体が得られます。トリフラート化反応機構

トリフラート化の反応条件、良く使用する塩基・試薬

アルコール、フェノールのトリフラート体はアリール・アルキルハライドの等価体として合成に用いることができるため有用です。トリフラート化に用いる試薬としては、

  1. トリフルオロメタンスルホン酸無水物 (Tf2O)
  2. フェニルトリフルイミド (Tf2N-Ph)
  3. Comins試薬

1.トリフルオロメタンスルホン酸無水物

トリフルオロメタンスルホン酸無水物は最も一般的なトリフラート化剤で、反応性も高いです。塩基は、トリエチルアミンやピリジンを用いることが多いです。ピリジンを用いた場合は、トリフルオロメタンスルホン酸無水物にピリジンが攻撃してできた中間体がトリフラート化剤として機能していると考えられます。

2. フェニルトリフルイミド (Tf2N-Ph)

フェニルトリフリルイミドは、トリフルオロメタンスルホン酸無水物よりも温和なトリフラート化剤としてよく使用されます。

3. Comins試薬 (2-[N,N-Bis(trifluoromethanesulfonyl)amino]-5-chloropyridine)

Comins試薬は Cominsらによって報告されたトリフラート化試薬です。(D. L. Comins, A. Dehghani, Tetrahedron Lett. 1992, 33, 6299.) アルコールのトリフラート化というよりもケトンからエノラートトリフラートを合成するのに用いられることが多いようです。フェニルトリフリルイミドと比べて、Comins試薬のほうが反応性が高く、0℃ではなく-78℃で反応をかけても反応が進行します。したがって、不安定なエノラートのトリフラート化試薬として有用です。Comins試薬の反応性は、ケトンをLDAによってエノール化したのちトリフラート化をComins試薬で行う場合、エノールのリチウム塩のリチウムに対して試薬のピリジン部位が配位することによるものだと考えられています。

 

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