細胞膜は細胞の内外を隔てるバリアで、タンパク質や核酸といった親水性が高い物質は通常透過しません。細胞の恒常性の維持としては非常に重要な役割を持っていますが、創薬研究やケミカルバイオロジーの分野等では、目的の分子を導入するために問題となってきます。そのために開発されているのが、細胞膜を透過することが可能なペプチド: 細胞膜透過ペプチド(CPP)です。
膜透過ペプチド: cell-penetrating peptide (CPP)って?
CPPはその名前の通り、細胞膜を通り抜けることのできるペプチドのことです。一般的に大きい分子(例えばタンパク質やナノ粒子など)は細胞膜を通り抜けることができません。しかしながら、このCPPと共有結合でくっつけたり(架橋)、非共有結合によって安定複合体を形成させたりすると大きな分子でも細胞膜を通り抜けることができます。この際にタンパク質が薬剤として作用するような生物活性化合物であれば、このCPPはドラッグデリバリーシステム(DDS)になるわけです。
膜透過性ペプチド(CPP)の種類
CPPは特定のペプチドを指しているわけではなく、いくつもの種類が知られています。以下にいくつか例を示します。
- TAT
- R8 or R9 (poly-arginin)
- Penetratin
- TP10 (Transportan)
- Pep-1
- LL-30
- Pep-7
参考文献
1) Funakoshi, Cell Penetratine Peptide (CPP), <https://www.funakoshi.co.jp/contents/3837> 2019年3月25日アクセス
2) Wikipedia, 細胞膜透過ペプチド, <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C%E9%80%8F%E9%81%8E%E3%83%9A%E3%83%97%E3%83%81%E3%83%89> 2019年3月25日アクセス
3) 日薬理誌 141,220(2013)<https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/141/4/141_220/_pdf>
4) Journal of Japanese Biochemical Society 89(1): 8-14 (2017) <https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2017.890008/data/index.html>
5) 生化学 81, 2009, 992 <http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/05/81-11-07.pdf>