赤貝は赤い血を流す?
赤貝は名前の通り身が赤い貝ですが赤いのはなぜなのでしょうか?
赤貝は「ヘモグロビン」という赤いタンパク質を持っています。
このヘモグロビンは「ヘム」という赤色の分子を含んでいるために赤色をしています
このヘモグロビンは人間の血液にも含まれています。つまり、赤貝が赤いのと人間の血液が赤いのとは同じ理由です。
Furuta, Hiroaki, Masato Ohe, and Akihiko Kajita. “Subunit structure of hemoglobins from erythrocytes of the blood clam, Anadara broughtonii.” The Journal of Biochemistry 82.6 (1977): 1723-1730.
赤貝だけじゃない?赤い血を流す意外な生物たち
血が赤いのは人間や猫といった哺乳類などの動物で貝や昆虫といった生き物は血液を流さないようなイメージはないでしょうか?
事実、エビやカニ、一部の昆虫やイカなどの軟体動物は鉄由来の赤いヘモグロビンではなく、銅由来の青いヘモシアニンというたんぱく質を持っています。
しかし、赤貝のように赤い血を流す生物は他にもいます。
釣り餌に使うミミズやゴカイをちぎったことはあるでしょうか?彼らも赤い血を流します。
なぜならミミズやゴカイも赤い分子であるヘムを含むたんぱく質を持っているからです。
彼らの持つたんぱく質は人間のヘモグロビンとは違った形をしています。
人間のヘモグロビンは4つのブロックからなる4量体をしていますが、ミミズやゴカイはエリスロクルオリンといってヘモグロビンよりもずっと大きな巨大ヘモグロビン(144個のヘモグロビンを含む)を持っています。
https://www-rcsb-org.translate.goog/structure/2GTL?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja
エリスロクルオリンがこんなにも巨大なのは、人間のように赤血球のような細胞中に安定な状態含まれているのではなく裸のまま血管中を浮遊しているからだと考えられています。
https://numon.pdbj.org/mom/159?l=ja
貧血の人に赤貝はおすすめ!
ちなみに栄養学的には鉄を含んでいるヘムは鉄補給源として優れています。
牛肉の赤身も鉄が豊富ですが、赤貝は鉄補給源としてより優秀です。
ちなみにアサリも鉄分豊富ですが、アサリはヘム由来ではなくフェリチンという鉄貯蔵たんぱく質を持っているために多量の鉄を含んでいます。
横井克彦. “摂取不足が問題となる微量元素と摂取源としての缶詰食品.” 生産者とつながることの贅沢さ (2013): 766.
鉄補給というとレバーといったイメージがありますが、癖のある食べ物なので鉄補給源として赤貝を食べるのもいいかもしれませんね。