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電子タバコに害は有る?有害性に関して考察!

電子タバコは安全?

最近はタバコを吸っている人も減ってきているような印象がありますが、電子タバコを吸っている人は結構増えているように思えます。

電子タバコは紙巻きたばこと比べて、副流煙が少なく、体に良いような印象がありますが、肺炎などの健康被害が生じるなどもあり、アメリカで電子タバコが規制されたりしています。

実際には電子タバコの害は大きいのか?について論文の情報を交えながら考察していきます。

電子タバコは有害?

電子タバコは急速に世界で拡大しています。スタイリッシュな電子タバコは特に若者から注目されています。

電子タバコには主に二種類あります。

  1. 電熱で葉タバコを加熱するタイプ (iQOS等、加熱式たばことも)
  2. 液体のタバコを蒸気にして吸入するタイプ(ベイプ、主にこちらを電子タバコと呼ぶ?)

があります。

加熱式たばこも電子たばこどちらも健康問題が生じるのでは?と議論になっています。

ごく最近に発売された電子タバコには「紙巻きたばこにはない特有の有害性」がある可能性があります。

葉タバコを伝熱して吸うタイプは普通のたばこと比べて安全とされますが、ニコチン量などは同程度含まれているといわれています。

参考 iQOS、安全性証明の論文に疑念広がる…ニコチン量、紙巻きたばこと同程度ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る

また、電子タバコが原因で起こる肺疾患などが米国内で問題になっています。

参考 「アイコス」有害性についての新研究とは〜呼吸器細胞をひどく傷つける(石田雅彦) - 個人 - Yahoo!ニュースYahoo!ニュース 個人

米国内では一部の州で電子タバコの販売禁止などの措置が取られています。

参考 トランプ氏、味や香り付き電子たばこの販売禁止へ 1年で6人死亡 - BBCニュースBBCニュース


電子タバコの有害性は何が原因?

加熱式たばこの仕組みはたばこ葉の粉末を燃焼させずに、伝熱により加熱して生じた蒸気を吸引するようになっています。燃焼していないので煙が出てこず、吸った感覚が少ないので、煙を出すために、グリセリンやプロピレングリコールといった物質も加熱してエアロゾルとして吸引できるようにしています。

リキッドを利用する電子タバコも同様に、グリセリンやプロピレングリコールに加えて香料やニコチンなどが混合された液体を加熱して蒸気として吸引します。

電子タバコの有用点としてよく挙げられているのは、

  1. 従来の紙巻きたばこと比べて有害性は小さい
  2. 副流煙による受動喫煙の影響が小さい
  3. 吸い殻による火災やごみ問題の懸念が少ない

などがあります。

本記事では、1, 2の部分において、従来のたばこよりも低減されている部分もあるが、電子タバコならではの有害性があるのでは?という部分が問題です。その一つが「劇症性肺炎」などの発症です。

田中謙. “電子タバコ・無煙タバコ規制の法システムと今後の法制的課題.” 關西大學法學論集 66 (2016): 1-21.

有害成分について

電子タバコではグリセリンやプロピレングリコールを加熱することで蒸気を生産していますが、この加熱過程で有害物質が生じる可能性があります。

国立保健医療科学院による調査によると電子タバコ中には健康を害する可能性のあるアルデヒド類が紙巻きたばこよりもたくさん含まれていることを報告しています。

アルデヒドは各組織や粘膜への刺激や炎症、変性などを引き起こす可能性のある成分です。

電子タバコ中から発見されたアルデヒド類には、ホルムアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサールなどがあります。

電子タバコで生成するアルデヒド類

電子タバコで生成するアルデヒド類(ホルムアルデヒド、アクロレイン、グリオキサール、メチルグリオキサール)

加熱式たばこや電子タバコでは煙を出すためにアルコール類が含まれています。これらが加熱によって酸化されて毒性物質のアルデヒドが生じます。

電子タバコのリキッド成分から生じる有害物質

電子タバコのリキッド成分から生じる有害物質

参考 電子タバコ蒸気に含まれる有害化学成分国立保健医療科学院

・ホルムアルデヒド

最も簡単なアルデヒドであり、この水溶液はホルマリンと呼ばれる。人に対して毒性を持ち、IARCでは発がん性物質としてグループ1に分類され、建材などから蒸散するホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因となることが知られています。

・グリオキサール

グリオキサールは最も簡単なジアルデヒドであり、反応性が高く架橋剤などに利用されます。グリオキサールはDNAのグアニンと特異的に結合するため変異原性を持ちます。

・アクロレイン

最も単純な不飽和アルデヒドで、非常に高い反応性を有し、容易に重合する。アルデヒド基のみならず、カルボニルβ位も求電子性を持ち、マイケル付加反応を起こす。生物への毒性も高い

香料成分の有毒性

電子タバコの成分には様々なものがありますが、その中でも液体タバコ中に含まれる香料は代表的な添加成分です。こういった香料成分は食品用が使われており、安全性が確立されているように思えますが、安全であると認められているのは「口からの摂取」であり、吸入による安全性に関しては不明です。
そう言った背景からTierneyらは液体電子タバコ中に含まれる香料成分が健康に影響を与える可能性を調査しました。
電子タバコに含まれる香料成分の中でもっとも頻繁にみられた成分は
  1. バニリン:バニラの香り
  2. エチルマルトール:カラメルみたいな香り
  3. エチルバニリン:バニラの香り
  4. メントール:清涼感

が主要な香り成分として検出されています。

香り成分の中で問題となるのは「アルデヒド類」です。アルデヒドは呼吸器を刺激する可能性があり、反応性も高く、加熱により反応を起こして有害な副産物を生成する可能性があります。特にバニリン、ベンズアルデヒドは高いレベルで含まれているため気を付けるべきだと論文では述べられています1)

1) Tierney, Peyton A., et al. “Flavour chemicals in electronic cigarette fluids.” Tobacco control 25.e1 (2016): e10-e15.

まとめ

電子タバコ(加熱式たばこも含む)は紙巻きたばこと比べて、たばこの葉を燃焼させないため特定の有害物質は生成しにくいです。一方で、電子タバコに用いられるアルコール類(グリセリンやプロピレングリコール等)の加熱により生じるアルデヒド類など、紙たばこには少ない毒性成分の生成も確認されています。ニコチンに関しても添加されているものに関しては噛みたばこと同等量含まれているため、電子タバコ≒安全性が高いとして安易に用いるべきではないです。

特に、電子タバコは紙巻きたばこには無い様々な香料を含む味があるため、若年層を中心に人気を集めていて、これが喫煙や薬物利用の入り口となってしまう点も懸念されています。

電子タバコに用いられる成分は十分な規制や健康に関する蓄積されたデータ等がないため、未知の毒性が生じる可能性を考慮したほうが良いかもしれません。米国で発症している劇症型の肺炎は大麻成分であるTHCが含まれていた製品、ビタミンEアセテートが原因である可能性が挙げられていますが、まだ原因はよくわかっていないようです。

Blount, Benjamin C., et al. “Vitamin E acetate in bronchoalveolar-lavage fluid associated with EVALI.” New England Journal of Medicine (2019).

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