ボロン酸誘導体は有名なクロスカップリング反応である鈴木宮浦カップリング反応で使用することから、結構取り扱ったことのある経験がある人も多いのではないでしょうか?
鈴木宮浦カップリング反応をやったとき意外とボロン酸誘導体の分離が厄介なことがあります。そんな時TLC上でどれがボロン酸誘導体か?とういことが分かると便利です。
本記事では、ボロン酸をTLC上で検出する発色試薬を紹介します。
クルクミンはボロン酸誘導体の発色試薬!
ボロン酸誘導体はウコンの色素成分で有名なクルクミンで発色することができます。
この比色検出法は論文で報告されています。
Lawrence, Katherine, et al. “A simple and effective colorimetric technique for the detection of boronic acids and their derivatives.” Analytical Methods 4.8 (2012): 2215-2217.
クルクミンは黄色の色素成分ですが、これがボロン酸と反応すると赤色に発色します。TLCではこの赤色を検出します。
下の図に示す構造のホウ酸誘導体は発色しにくいようです。宮浦ホウ素化で使うホウ酸誘導体合成に用いるビスピナコラートジボロンやアルキルボロン酸、ビニルボロン酸などがあります。
発色試薬の調製方法
発色試薬の調製にはクルクミン、塩酸、エタノールが必要です。調製自体は簡単です。
ボロン酸誘導体の発色試薬の調製法
- クルクミン100㎎を秤量
- エタノール:2M HCl-99:1(v:v) 100 mLをクルクミンに加えて溶解する
- 瓶に保存(遮光)
使い方はスポットして展開したTLCをディップしてヒートガンなどで加熱すると黄色~オレンジ背景にボロン酸誘導体のスポットが赤色で浮かび上がってきます。
鈴木宮浦カップリング反応などの登場でホウ素を含む化合物を取り扱う人がどんどん増えていると思います。TLCの発色試薬は迅速な官能基検出に有用なのでどんどん利用すると研究が捗ると思いますよ!
販売されているターメリックの粉末(ウコン粉末)をクルクミンの代わりに利用しても検出できるという噂があります。できそうな気がするので試してみても良いかもしれません。
TLCの論文はリサーチゲートでFullTextが読めます。
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