コルベ・シュミット反応( Kolbe-Schmitt reaction)は電子豊富なフェノールが二酸化炭素に対して求電子置換反応を起こすことによってカルボン酸を芳香環に直接導入する反応です。
コルベシュミット反応とは?
コルベシュミット反応は電子豊富なフェノール等の芳香環から二酸化炭素に対して芳香族求電子置換反応を起こすことによってカルボキシル基を芳香環のオルトまたはパラ位に直接導入する反応です。

コルベシュミット反応の概要
コルベシュミット反応では生成物は「サリチル酸」です。この反応はサリチル酸の工業的な合成方法として重要です。
サリチル酸のフェノールをアセチル化すると解熱鎮痛剤のアスピリンを合成できます。
フェノールのオルト位が優先的に合成されるのはフェノールとカルボン酸に挟まるようにしてナトリウムイオンがキレートするからだと考えられています。
反応機構
コルベシュミット反応ではフェノールを水酸化ナトリウムなどの塩基を用いることによって、脱プロトン化によりフェノキシドを生成します。
電子豊富なフェノキシドはフェノールと比べて求電子置換反応を起こしやすくなっています。これに二酸化炭素を導入すると二酸化炭素に対して求電子置換反応を起こしてカルボン酸が導入されます。次いで酸性条件とすることでカルボン酸とフェノールを遊離します。

コルベシュミット反応の反応機構
コルベシュミット反応では二酸化炭素を高圧・高温で反応させます。コルベシュミット反応では水が反応を妨げるため、フェノールの脱水が重要です。
工業的には有用ですが、実験室ではやりにくいのが課題でした。
実験室スケールで使いやすいDBU/MeCNの反応
2019年「Chemical Communication」からコルベシュミット反応にDBU/アセトニトリルの条件を用いることによって室温付近でコルベシュミット反応が進行する報告があります。

DBUを用いたコルベシュミット反応
Sadamitsu, Yuta, et al. “Kolbe–Schmitt type reaction under ambient conditions mediated by an organic base.” Chemical Communications 55.66 (2019): 9837-9840.