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速筋の成長=遅筋の減弱?【ウエイトトレーニングの代償・犠牲】

チキンマン・F

今回は2019年の論文を参考に、ウエイトトレーニングが及ぼす遅筋と速筋への影響について話していきたいと思います!

遅筋と速筋とは

筋肉は、持久力に関係する「遅筋」と短い時間だけ爆発な力を発揮できる「速筋」と2種類に大別されています。「遅筋」はマラソンやウォーキングなどの有酸素運動するときに活躍する筋肉で、「速筋」は短距離走やウエイトトレーニングなどの無酸素運動時に活躍する筋肉です。

少し簡単に説明しましたが、もう少しだけ詳しく説明すると、筋肉には横紋筋と平滑筋という2種類があります。そして、横紋筋はさらに骨格筋と心筋に分かれています。骨格筋は自分の意志で動かせるので随意筋、心筋と平滑筋は自分の意志では動かすことができないので不随意筋と言われています。

そして、骨格筋を構成する筋繊維に「遅筋」と「速筋」という種類がある、という話の流れです。

遅筋ってどんな筋肉?

冒頭でもお伝えしましたが、遅筋は、マラソンやウォーキングなどの有酸素運動をする際の持久力に関わる筋肉(筋繊維)です

遅筋には、ミオグロビンという色素タンパク質が多く含まれており、赤色をしています。このミオグロビンというタンパク質には、酸素を貯蔵する作用があるため、遅筋を使った運動(収縮)は長時間(高回数)行うことができるのです。収縮のスピードが遅く、爆発的な力は出せませんが、一定の力を長時間出すことができます。また、年齢による減少が速筋に比べて小さいことも遅筋の特徴です。収縮のミオグロビンは、ヘモグロビンと名前や働き、構造が類似していますが異なる物質です。

魚の刺身を想像してもらうとかなりわかりやすいと思います。赤身の魚といえば、マグロやカツオといった常に泳ぎ続けてる魚です。これらの魚は、絶えず泳ぎ続けるため、持久力が必要になってくるため、遅筋繊維の比率が大きいので赤身なのです。

速筋ってどんな筋肉?

「速筋」は収縮が速く、短距離走やウエイトトレーニングなどの無酸素運動時などの瞬時に爆発的な力を出す必要がある運動時に活躍する筋肉です。その爆発的な力は、長くは続かず、疲れやすいといった特徴があります。速筋は、遅筋に対して色素タンパク質であるミオグロビンの貯蔵量が少ないため、白っぽい色をしています。

速筋が多い魚と言えば、白身の魚ヒラメやカレイです。これらの魚は、海底で静止していることが多く、外敵が近づいてきた際は爆発的な速さで逃げることができます。これは、速筋繊維の比率が大きいからです。

つまり、「遅筋=持久力」「速筋=最大出力」にそれぞれ関連する筋肉というわけです。

遅筋は鍛えてもほぼ太くはならないので、ボディメイクにおいて重視されているのは、鍛えることで大きくなり、隆々とした見た目を作り上げる速筋の方です。

ウエイトトレーニングが遅筋を減らす??

今回紹介したいのは、スイスのバーゼル大学で行われた動物実験において、速筋が大きく成長する際、ただ速筋だけが太くなっているのではなく、実は元々あった遅筋が変換され速筋になる可能性が示唆されました。

数字でイメージすると、筋トレ前「遅筋レベル50、速筋レベル50」だった遅筋と速筋の構成が筋トレ後「遅筋レベル20、速筋レベル80」となっているのではないか、ということが示唆されたようです。

個人的なイメージでは、筋トレ前「遅筋レベル50、速筋レベル50」⇒筋トレ後「遅筋レベル55、速筋レベル80」というように、速筋ほど大きくは成長しないものの、多少は成長しているものだと考えていました。

ちなみに例に挙げた数値は全くのデタラメで、イメージをしやすくするためだけのものです。

ボディメイクの観点からは重視されていないとはいえ、速筋が成長すると遅筋が弱くなってしまうというのは結構悔しいです。

そして、この遅筋を速筋に変えてしまう原因なのではと言われているのが、BDNFという物質です。

BDNFとは

Brain-derived neurotrophic factor(脳由来神経栄養因子)の略称であり、神経細胞の成長を調節する脳細胞の増加には不可欠な神経系の液性蛋白質。

BDNFは海馬でのシナプス伝達の可塑性発現に関与し、学習や記憶の形成に関わっており、アルツハイマー病、うつ病などの精神神経疾患との関連が報告されている。
アルツハイマー病患者の脳では、特に大脳皮質や海馬におけるBDNFのレベルが健常者よりも低い。ラットでの実験では加齢に伴った空間記憶の低下と海馬におけるBDNFのmRNA発現量減少の相関が示された。1)これらの事実から、加齢及びアルツハイマー病における記憶低下とBDNF減少との関与が示唆されている。
2)BDNFとうつ病との関連を示すデータも報告されており、鬱病患者の脳においても海馬を含む特定の領域でのBDNF蛋白量減少が認められた。

1). Tapia-Arancibia et al.,  “New insights into brain BDNF function in normal aging and Alzheimer disease.” Brain Res Rev. 2008 Nov;59(1):201-20.

2). Erickson et al., “The aging hippocampus: interactions between exercise, depression, and  BDNF.” Neuroscientist. 2012 Feb;18(1):82-97.

BDNFとトレーニング

上記では、BDNFについて小難しく説明しましたが、要は脳に存在する記憶や学習に関わるタンパク質ということです。ここまでだと全く筋トレとの関連が読めませんね。

実は、BDNFは、筋トレをすることで増やすことができると言われているんです!ここではこれ以上小難しい説明は致しませんが、お年寄りが認知症の対策として軽い筋トレをするといったことは実際に行われているようです。

そして、なんとBDNFは筋肉そのものから生成され、さらには、BDNFの放出が遅筋を速筋へと再構築すると言うのです。

つまり、筋力がアップ(筋肥大)という現象は、遅筋の減少という現象と同持並行で起こっているのではないか、という可能性が示唆されたのです!

先に述べた通り、私が、なんとなく想像していた、筋トレ前「遅筋レベル50、速筋レベル50」⇒筋トレ後「遅筋レベル55、速筋レベル80」ではなく、、、筋トレ前「遅筋レベル50、速筋レベル50」⇒筋トレ後「遅筋レベル20、速筋レベル80」という悲しい現象の方がより事実に近いということです。

まとめ

チキンマン・F

ここまでのポイントを整理します
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「遅筋」は、マラソンやウォーキング等の有酸素運動をする際の持久力に関わる筋繊維。

「速筋」は短距離走やウエイトトレーニングなどの無酸素運動時に活躍する筋繊維。

・どうやら筋肉はBDNFという学習や記憶に関わる物質を生成するらしい。

・そして、そのBDNFという物質が遅筋を速筋へと変換するらしい。

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結論

ウエイトトレーニングは、強い力と大きな筋肉を我々に与えてくれるが、其の実、代償として持久力を犠牲にしている、のかも知れない。』

Julien Delezie, Martin Weihrauch, et al. “BDNF is a mediator of glycolytic fiber-type specification in mouse skeletal muscle” 

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