フィットネス

高強度インターバルトレーニング HIITはダイエットに有効?

高強度インターバルトレーニングとは?

脂肪燃焼というと有酸素運動が有効ですが、どのような運動の方法が脂肪燃焼に有効なのかはご存知でしょうか?どうせ運動をするには、効率的な運動をしたいというのが素直なところだと思います。

最近はエビデンスベースドトレーニング(科学的な根拠に基づくトレーニング)という考え方がトレーニングにも浸透してきています。

そのなかでも高強度インターバルトレーニングが脂肪燃焼には有効だと言われています。ここでは、

  • 高強度インターバルトレーニング (HIIT)とは何か?
  • どのような考え方をもとにしているか?
  • ダイエットには有効なのか?を紹介してきます。

ダイエットに有効な有酸素運動とは?

運動には有酸素運動無酸素運動の二種類があります。

無酸素運動は酸素を消費しないで筋肉を動かす運動方法です。無酸素運動は素早くエネルギーを作り出せるATPクレアチンリン酸といったエネルギー源を使う運動で、瞬発的にエネルギーを生み出すことができますが、数分も持たずにエネルギーを使い果たしてしまいます。

一方で有酸素運動は酸素を消費して筋肉を動かす運動方法で、瞬発的なエネルギー産生はできませんが、継続的に大量のエネルギーを生み出すことができます。これには糖類だけでなく脂質の分解も行います。ですから、脂肪燃焼を狙った運動には有酸素運動が有効です。

筋肉エネルギー産生の仕組み
ATPエネルギー発生の仕組み リン酸系 解糖系 有酸素系ATPは骨格筋の動作に必要不可欠なエネルギー源です。そのため、ATPが枯渇しないように体にはATPを作り出す仕組みがいくつも用意してあり...

血栓症リスクの低減、血圧や血清脂質の低下に有酸素運動は有効です1a-c)。健康のための有酸素運動は、週5回の30分間程度の時間が良いとされています。

一方で短時間の中強度の有酸素運動(CME:Continuous, Moderate aerobic Exercise)は脂肪を減らすのにはあまり有効ではないようです2)

中程度の強度とは限界の6~7割程度の運動強度です

高強度インターバルトレーニングとは?

高強度インターバルトレーニング(HIIT)は回復期間として1〜5分間を隔てて、30秒から数分間、高強度の運動を繰り返し行う方法です。

回復期間には「休息」あるいは「低強度の軽い運動」を行います。

最も一般的な高強度インターバルトレーニング方法は、1970年代に報告された方法で、サイクリングを使った方法です。この方法では30秒間の最大負荷と4分間の休息(低強度の軽い運動)を4-6セット繰り返す方法です。これを1週間に3回やります。

この方法では5セットやったとして、最大強度の運動が150秒(2分半)と低い強度の運動が20分間で済むため、時間を節約できます。

とにかく限界の運動を行うことが重要です。最大心拍数になる運動をしましょう。

この高強度インターバルトレーニングの特徴は

  1. 脂肪燃焼効果
  2. 運動能力の向上(筋力等)

が期待できることです。

高強度インターバルトレーニングの脂肪燃焼効果

高強度インターバルトレーニングは短い時間の運動であるにも関わらず、有酸素運動に見られる健康上のメリット(血栓症予防や耐糖能の改善)が観察され、さらに2008年の研究では中程度の強度の有酸素運動をやった人たちとやっていない人との間では脂肪量の減少などは観察されませんでしたが、高強度インターバルトレーニングでは優位に脂肪減少が確認されています3)

つまり高強度インターバルトレーニングは、

短い時間で効率的に

脂肪燃焼効果が期待できる

有用なトレーニング手法であることが研究から明らかにされています。

高強度インターバルトレーニングのデメリット

高強度インターバルトレーニングのデメリットは限界の運動を続けるために怪我や血管系の病気を抱える人へのリスクがあることです。心筋梗塞などにかかったことがある人や心臓や血管に障害を持っている人は考えたほうが良いかもしれません。

怪我をへらすために、ウォーキングよりもサイクリングをおすすめします。日常的に運動をしていない人はまずは中強度の有酸素運動を30分程度週5回、一月くらいやって慣らしておいた方が良いかもしれません。

医師に運動を禁じられているような場合以外は様子を見ながらやれば大丈夫だと思いますが、何か異変を感じた場合はやめましょう。

高強度インターバルトレーニングに関する研究結果

circulation(IF:23)の論文(Arnt Erik Tjønna, MSc, et al, 2008 Jul 22;118(4):346-54)の実験概要は、

  • 参加者: 32人
  • : コントロール(何もしない)、CME、HIITの3群 各々10,10,12人
  • トレーニング概要:トレッドミルの 上り坂でウォーキング&ランニング。消費カロリーはどちらも合わせる。
  • HIITトレーニング: 最大心拍数の70%で10分間のウォームアップ後、90%最大心拍数で4分間、70%の最大心拍数で3分間、5分間のクールダウンを4セット行い、合計40分間とした。
  • CMEトレーニング: Hf maxの 70%で47分間トレッドミルでランニング
  • 期間: 週3回、4か月

体重はどちらも有意に(p<0.05)減少しました。

BMI値など体重の減少量はCMEのほうが大きかったですが、HIITでは筋肉量の増加によって体重減少が少ない可能性があります(実験では筋肉量などは調べられていない)。

ウエスト値はどちらも同じくらい減りました(5cmくらい)。

この実験で明らかになったCMEとHIITの間での大きな違いは、空腹時血糖やインシュリン感受性、HDLなどの検査値がCMEでは有意差は見られなかったが、HIITでは有意に改善された点です。

また、運動パラメータであるVO2maxがHIITでは大きく改善しています(HIIT35%, CME 16%↑)。さらに骨格筋のミトコンドリア能力の指標であるPGC1αレベルがAIITでは138%増加したのに対してCMEでは有意な増加は見られませんでした。

まとめると、高強度インターバルトレーニングHIITは中強度の有酸素運動と比べてダイエット効果は同じくらいであるが、空腹時血糖やHDL値など生活習慣病の改善に効果が有る点と運動能力(VO2maxやミトコンドリア能力)が向上するということですね。

PGC1αとは?

PGC1αは寒冷刺激によって骨格筋や褐色脂肪細胞中で発現が増加するタンパク質で、PPARγの転写活性化を行う。筋肉では運動によっても増加し、熱産生、ミトコンドリア生合成、エネルギー代謝に関わる遺伝子の転写を増加させる作用があります。

 

Stephen H. Boutcher, (IF:5.3). 2011; 2011: 868305.のレビュー論文(題名:High-Intensity Intermittent Exercise and Fat Loss高強度インターバルトレーニングと脂肪減少)では高強度インターバルトレーニングの脂肪減少効果についてまとめています。この論文ではHIIT(論文ではHIIEと表記)は、脂肪減少効果が認められ、さらに3か月程度でも有意に脂肪量の減少が期待できるとしています。また、30秒の最大強度ではきつい人は8秒間の高強度と12秒間の低強度を20分間繰り返す方法でも効果があると言われてます。

高強度インターバルトレーニングはダイエットに最適?

HIITはダイエットに最適な運動方法というわけではありません。HIITは運動に時間が取れない人にとっては最適な方法かもしれませんが、時間を取れる人にとっては別のトレーニング方法が最適な可能性があります。HIITの魅力は20~30分程度の週3-5回の運動で十分なダイエット・健康効果が得られるというところです。HIITは高強度の運動によってバーンアウト効果(運動後もエネルギー消費が続く現象)が得られやすい点も魅力です。
筋肉の状態(筋肉痛など)はHIITでは考慮されていないのでその点も改善の余地がありますね。

参考文献リスト

1a) Swardfager W, Herrmann N, Cornish S, et al.Exercise intervention and inflammatory markers incoronary artery disease: a meta-analysis. Am Heart J2012;163:666–76 e1–3.

1b). Lee CD, Folsom AR, Blair SN. Physical activity andstroke risk: a meta-analysis. Stroke 2003;34:2475–81.

1c)Manson JE, Greenland P, LaCroix AZ, et al. Walkingcompared with vigorous exercise for the preventionof cardiovascular events in women. N Engl J Med 2002;347:716–25.

1d) Tanasescu M, Leitzmann MF, Rimm EB, Willett WC,Stampfer MJ, Hu FB. Exercise type and intensity inrelation to coronary heart disease in men. JAMA, 2002;288:1994–2000

2)Boutcher SH, Dunn SL. Factors that may impede theweight loss response to exercise-based interven-tions. Obes Rev, 2009;10:671–80

3)rapp EG, Chisholm DJ, Freund J, Boutcher SH. Theeffects of high-intensity intermittent exercise train-ing on fat loss and fasting insulin levels of youngwomen. Int J Obes (Lond) 2008;32:684–9

4) Timothyl Shiraev, Gabriella Barclay, Australian Family Physician 41 (12), 960-962

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こめやんは理学博士です!化学の面白さと学ぶメリットを少しでも伝えるために日々頑張ります! ツイッターにて疑問点や依頼などを募集しています! 論文の和訳やレポートのチェックなどでもお気軽にお待ちしております