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エイコサペンタエン酸 (EPA)とは?ダイエット効果は本当?

エイコサペンタエン酸 EPA

エイコサペンタエン酸 (EPA)は青魚に豊富に含まれている脂質の一種です。EPAは二重結合がたくさんある不飽和脂肪酸という種類のものです。

エイコサペンタエン酸とは?

EPAの構造

エイコサペンタエン酸 (EPA)は酢酸と同じカルボン酸 (COOH)です。カルボン酸のうち長い炭素鎖が結合しているものは長鎖脂肪酸と呼ばれています。

エイコサペンタエン酸は末端のメチルから3番目の炭素に二重結合が存在しているオメガ3脂肪酸です。

EPAの効果とは?

EPAには様々な効果が報告されています。

  1. 血小板凝集抑制作用
  2. 赤血球変形能の向上
  3. 抗動脈硬化作用
  4. 血清中性脂肪値の低下
  5. 血清コレステロール値の微減
  6. 抗炎症作用

こめやん

こんなにたくさん効果があるんですね

EPAはDHAにも変換される

EPAが吸収されて体循環に入ると酵素によって炭素鎖が新調されてドコサペンタエン酸(DPA)に変換されます。その後酸化(二重結合化)されてDHAになります。

EPAの代謝

DHAは頭が良くなる効果があるとして一時期話題になりましたが、EPA同様に抗炎症作用や抗血栓作用などの作用が認められる健康のためには摂取しておきたい油の一つです。

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EPAのダイエット効果とは?

様々な作用があるとされているEPAにはダイエット効果もあるという話があります。これはどのような根拠があるのでしょうか?

調べてみると

EPA摂取によって痩せホルモンが分泌される

というようなネット上の記事が見つかりました。どうやらEPAによって痩せホルモンを分泌されると

  1. 食欲を減衰させたり
  2. 血糖の急上昇を防止
  3. 胃腸のぜんどう運動を抑制して満腹を感じやすくする

などの効果があるようです。

GLP-1が痩せホルモンの正体!?

EPAが痩せホルモンなるものを分泌するのは腸管に存在しているGPR120という受容体に結合するからのようです。

GPR120はGPCR(Gタンパク質共役型受容体)の一種で、腸管や脂肪細胞を中心に体中に分布しています。GPR120はEPAなどのオメガ3脂肪酸が結合することによって機能を発揮します。

GPR120に脂肪酸が結合すると「痩せホルモン」ことGLP-1やコレシストキニンの分泌が促進されたり、インシュリンの感受性が改善する作用が発見されています。

ただし、GPR120に対して作用する脂肪酸はEPAだけではなく、DHAやαリノレン酸もあるために、特別EPAだけの機能というわけではありません。

GPR120ノックアウトマウス(GPR120が働かないマウス)に高脂肪食を与えたときだけ普通のマウスと比べて有意に体重増加が観察された研究結果があります。

GLP-1はグルカゴン様ペプチド (Glucagon Like Peptide)で膵臓のβ細胞に作用することによってインシュリンの分泌を促します。

脂肪燃焼するベージュ細胞が増加する?

脂肪細胞の中にはベージュ細胞や褐色脂肪細胞といった細胞が存在していてそれらは、脂肪燃焼によって熱を作り出す細胞です。ベージュ細胞はUCP1と呼ばれるタンパク質を持っている脂肪細胞で褐色脂肪細胞と同じく脂肪燃焼を行います。DHAやEPAはこのベージュ細胞を増やし、体重増加を防ぐ効果があったようです 3)。ただしマウスレベルで与えた魚油の量も多いためヒトではどのくらいの量で効果があるのかというのは不明なので続報に期待です。

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EPAが豊富な食品 摂取の仕方

EPAは体内で同じくオメガ3脂肪酸のα-リノレン酸から合成することができますが、その量はわずかであるため、基本的には食事からEPAを摂取する必要があります 2)

食品名 可食部100gあたりのEPA量
あんこう きも 3000
すじこ 2100
いわし 蒲焼き(缶詰) 1800
さば 生 1800
いくら 1600
サバ 焼き 1500
さんま 生 1500
イワシ みりん干し 1400
さんま 焼き 1300
ノリ 1200
ほっけ 1100
ブリ 焼き 1000
わかめ 230

※文部科学省「日本食品標準成分表 2015年版(七訂)脂肪酸成分表」より可食部100gあたりのEPA量(mg)

EPA含有量は魚類が圧倒的に多いです。特にイワシ、さば、サンマ、ブリなど油ノッてる系青魚に多いです。

意外だったのが海藻類にもEPAが入っていることです。ノリには魚類と匹敵する量のEPAが入っています。わかめにも入っているので、海藻からもEPAが手軽に摂取できますね。

EPAは医薬品としても利用

EPAはその薬理作用から医薬品としても利用されています。持田製薬からはエパデールという名前で医薬品として販売されています。中性脂肪などの脂質低下作用や血小板凝集抑制作用、血管の弾力を向上させるなどの薬理作用を持ちつつ、他の医薬品と比べて安全性が高いとして評価を得ています。

医薬品としてはEPAのエチルエステル(COOH→COOEt)が有効成分です(EPAエチルエステルは体内で代謝されてEPAになります)。

血小板凝集抑制作用

アラキドン酸(オメガ6)から生成するトロンボキサンA2は、血小板に結合すると血小板の凝集を起こします。

一方でEPAからはトロンボキサンA3が生成され、トロンボキサンA2と比べて血小板凝集作用が弱いです。

EPAを大量に摂取することによってトロンボキサンA2がトロンボキサンA3に置き換わることで薬理作用が発揮されます。

赤血球の変形能向上

赤血球の細胞膜の流動性が低下すると、赤血球が変形しにくくなって、細い血管などを通過する時に詰まりやすくなり、血栓の原因となります。EPAを摂取することによって赤血球膜のリン脂質にEPAが取り込まれることによって膜の流動性が向上し、赤血球の変形能が向上すると推測されています。

参考文献

1) 沖嶋直子. (2018). 日本人における, 脂肪酸受容体変異と脂質摂取量, 肥満および GLP-1 分泌量の関連について. 松本大学研究紀要, 16, 83-90.
2) T.A.B.Sanders et al.:Brit.J.Nutr. 45, 613 (1981)
3) Kim, M., et al Scientific reports, 5, 18013.(2015)

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